小売・流通業界における「DX課題」に挑む
今村商事は1983年に化粧品の輸入販売業として創業。2021年には、元P&Gジャパンのデータサイエンス部門ディレクター 今村修一郎氏が代表取締役に就任している。その後、小売・流通業界のデジタル化に特化したコンサルティング事業を新たに展開すると、「小さなデジタル」をキーワードに業界全体のデジタル活用を牽引。今注目を集めている企業だ。
今村氏は、当時最年少でマイクロソフト認定システムエンジニア資格(MCSE)を取得するなど、高校時代からエンジニアとして活躍。大学卒業後に入社したP&Gジャパンではビッグデータ分析に従事する。2017年には、リテールAI研究会にテクノロジーアドバイザーとして参画するなど、IT技術を活用した小売・流通業界の改革に努力を注いできた。
日本の小売・流通業界に属する企業数は極めて多く、そこを支える業界構造がDXの妨げになっているとして「日本には食品メーカーが3万5000社、化粧品メーカーが7000社存在しています。そして、これらの企業が毎日のように新製品を開発・発表して市場に送り出しているのです。一方、アメリカに目を向けると、ほとんどの市場がトップ5社によって占められている。あまりにも多くの企業が存在するが故に、各企業が単独でDXを進めるには限界が生じています。本来ならば業界全体で協力する必要がありますが、まだ実現できていません」と指摘する。
この課題の核心は、「製・配・販」(製:メーカー、配:中間流通・卸売、販:小売)という概念にある。メーカー、卸売、小売が互いに連携・協力することなく、各層での最適化が進んでしまい、商品登録も各社が手作業で行うなど非効率な状況を生み出したからだ。