めまぐるしく変化するサーバー仮想化
今年初め、Microsoftのサーバー仮想化ソリューションであるHyper-Vを、VMware Infrastructure 3 (VI3) との比較を通してご紹介しました。
連載では、単純な機能比較だけをしてしまうとHyper-VはまだまだVMwareに及ばない点が多いものの、価格面や導入の容易さなどの面で優位性があり、用途によってはHyper-Vも有力なサーバー仮想化ソリューションとなりえるという結論でした。それから半年が経過し、サーバー仮想化の分野はめまぐるしい変化を遂げています。
サーバー仮想化製品の進化
まず、VMwareがVI3の後継製品となる「vSphere 4」を2009年5月21日に出荷開始し、一足先に次世代仮想化基盤の提供を始めました。vSphere 4は、VMware FT(Fault Tolerance)と呼ばれる仮想マシンの無停止サーバー機能を搭載するなど、追随する他のサーバー仮想化ベンダーとの更なる差別化を図ってきています。
一方のMicrosoftも、7月22日に「Hyper-V 2.0」を標準搭載した「Windows Server 2008 R2」、8月24日に仮想環境の管理製品である「System Center Virtual Machine Manager 2008 R2 (SCVMM2008R2)」の開発工程をそれぞれ完了。10月22日の一般提供開始に向けて出荷準備に入っています。
従来は機能面の弱さが目立つことも多かったHyper-Vですが、新バージョンではVMware製品の象徴的機能であったVMotion相当の機能を実装するなど、機能面の弱点を補強・改善しています。
ハードウェア側の仮想化支援機能強化
関連する技術に目を向けると、3月にIntel社がNehalem、6月にAMD社がIstanbulとそれぞれ呼んでいた新しいサーバー向けプロセッサを出荷しました。どちらも、プロセッサ独自の仮想化支援機能を強化している点が特徴の一つとなっています。このように、仮想化を取り巻く技術は日々進化しているのです。
そこで今回の連載では、前回記事のアップデート版として、VMware vSphere 4や旧バージョン(Hyper-V 1.0)との比較を通じてHyper-V 2.0の新機能や改良点をご紹介します。
第1回と第2回では、導入要件やサポートOSの種類、構成上のリソース上限などの基本情報について比較解説します。第3回以降では、それぞれの製品の特徴的な新機能について順次ご紹介する予定です。
なお、前バージョンと大きな変化のない項目、たとえばそれぞれの製品の仮想化アーキテクチャーについては取り上げませんので、前回連載を合わせてご参照いただけると幸いです。