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博物館法改正で“デジタルアーカイブ”への要請高まる──推進の鍵を握る「デジタルアーキビスト」とは

山積する課題にどう挑む? 専門家に訊く

 2022年4月に「博物館法の一部を改正する法律」が成立し、約70年ぶりとなる単独改正に至った文化庁。2023年4月から新制度に移行すると「博物館DX」への機運の高まりとあわせて、ITやデータの活用が待ったなしの状況となってきた。とはいえ、改正法施行によって新たな課題も散見されるなど状況は好転したとは言い切れない。そこで、鍵となってくるのが「デジタルアーキビスト」という存在だ。

法改正で迫られる“博物館資料”のデータアーカイブ なぜ今動く?

 約70年前に制定された「博物館法」が改正[1]され、博物館や収蔵資料などを取り巻く環境が大きく動き出した。2023年4月から施行された中、特に焦点となっているのが新たに言及されている「デジタルアーカイブ」と「地域連携による活性化」だ。

 前者のデジタルアーカイブでは、博物館資料をデジタル化して保存するだけでなく、その公開までを博物館が行うべき事業として位置づけられている。また、他の地域主体や博物館などとの連携・交流を図るための施策が後者であり、社会課題の解決、地域活性化への寄与に期待が寄せられる形となった。加えて、これまで地方公共団体や公益団体など、特定の主体しか博物館の登録認定を受けられたなかったところ、設置要件が撤廃されたことから障壁も取り払われている。

 上級デジタルアーキビストであり、地域経済分析などの手法を用いた奈良大学との共同指導実績も有する寳德真大氏は、「コロナ禍を経て、博物館資料をWebなどで公開することへの機運が高まり、デジタルアーカイブが要件として反映される形となった。一方で、現実には課題が山積しており、すぐに取り組みを加速させることは難しい」と指摘する。その要因の1つが“博物館の財政難”だ。

 政府支出のおよそ0.1%にあたる予算しかないという報道もある中、寄贈品が増えても保管するための収蔵庫を増設できなかったり、運営に必要な学芸員の雇用を確保できなかったりする現状がある。ここに加えて、光熱費の高騰ものしかかるなど、先般話題となった国立科学博物館がクラウドファンディングを募った背景と同様に、今全国各地の博物館では解決すべき喫緊の課題が山積している状態だ。特に、デジタルアーカイブ化は努力義務ということもあり、予算が増えたとしても前述した領域に投資され、デジタルアーカイブにまで行き着かない。

 「たとえば、リスキリングやIT人材の育成といった文脈はわかりやすく、必要性も明らか。一方、博物館資料などのデジタルアーカイブ化を進めても、どのような効果が生まれるのか企業や自治体だけでなく、国としても検証しづらいために予算も下りにくい。だからこそ、地域社会や企業が抱える課題解決につながるという事例を作らなければならない」(寳德氏)

誠勝 社長室室長(AI事業開発担当)/上級デジタルアーキビスト 寳德真大氏
誠勝 社長室室長(AI事業開発担当)
上級デジタルアーキビスト 寳德真大氏

 もちろん、文化庁が現況を認識していない訳ではなく、令和4年度の概算要求においては「博物館機能強化推進事業」として9億6千万円を要求している。結果としては、4億円強の予算計上に留まってしまい、令和5年度の概算要求で15億円弱を計上するも前年度からほぼ横ばいの4億円強の予算計上となった[2]。令和6年度の概算要求では7億円[3]と要求額自体も少なくなっており、まさに博物館や企業という単位ではなく、我が国として構造的課題に直面していると言える状況だ。

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課題解決の鍵「デジタルアーキビスト」とは

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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