世界25の国や地域にわたる物流ネットワークをもつヤマトグループ、海外拠点のセキュリティを強化へ
第18回:ヤマト運輸 デジタル推進部 サイバーセキュリティグループ 竹井聖美さん

世界中で様々なサイバー攻撃、セキュリティインシデントが取り沙汰される中、世界25の国や地域にわたる物流ネットワークをもつヤマトグループは「サステナブル中期計画2023」において「情報セキュリティ重大事故0件」を掲げる。グループ全体のセキュリティを司る、ヤマト運輸 デジタル推進部 サイバーセキュリティグループの竹井聖美さんに、“絶対に止められない”社会インフラの舞台裏を聞いた。
「情報セキュリティ重大事故0件」を目指して
酒井真弓(以下、酒井):「情報セキュリティ重大事故0件」に向けて、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。
竹井聖美(以下、竹井):当社は、物流という社会的インフラを担う企業として、止めてはいけないシステムがたくさん存在します。私たちサイバーセキュリティグループは、関連部門と連携して対策を検討し、様々な仕組みを導入してきました。また、組織体制も整備しています。2021年にグループ会社7社をヤマト運輸に統合したことを機に、これまでグループ各社に分散していたシステム開発や管理体制を、ヤマト運輸デジタル推進部に集約し、情報管理の一元化や報告・チェック体制を強化しています。
私の担当は、海外現地法人を含むグループ全体のセキュリティルールの策定、セキュリティ動向の把握、新たな施策の検討・導入、いざというときのインシデント対応など多岐にわたります。特に今力を入れているのは、海外現地法人のガバナンス強化です。

引用:「サステナブル中期計画2023(2023年目標)~ヤマトグループのサステナブル経営改革~」(PDF)
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酒井:国内拠点と海外現地法人では、やはり勝手が違うのでしょうか。
竹井:海外現地法人の場合、導入しているシステムやルールにはばらつきがあります。できるところはグローバルで統一し、さらにガンバナンスを強化していきたいです。
現在は、すべての海外現地法人のセキュリティレベルの統一化を目指して、1年かけてセキュリティチェックをしています。

酒井:コミュニケーションをとるのも難しそうですね。
竹井:海外現地法人を担当して初めて実感したのは、「また担当者が変わったんだ」ということが多いこと。人材流動性が高く、日本のように「顔見知りになったからいろいろお願いしやすい」とはならないのが難しいところです。
酒井:なるほど、人材流動性が高いと引継ぎがうまくいかないなど、課題がありそうですね。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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