「失われた10年」と「ガラパゴス化」
面白いことに、日本語版のウィキペディアに「失われた10年」と「ガラパゴス化」というキーワードがあることに気がついた。ウィキペディアには代表的な意味が述べられているが、もちろんITの角度からの記述はない。
ここで述べたいのは日本のユーザー企業が現在使用しているIT技術、新規プロジェクトで使用するつもりのIT技術がいかに世界の常識からずれてきているか、このままでいいのか、どこから修正していけばいいのか、というポイントだ。
失われた10年というのは1993年から2004年までの12年間のことだと書かれているが、IT技術の度合いでみると、2009年現在も継続しているので通算17年にもなる。結論を先に言うと、XMLやWebサービスなどの技術をなかなか受け入れないまま現在に至っているのが日本の現状であり、急速な改善は見られない。
ガラパゴス化を容認するのであろうか?なぜ受け入れないのか?と考えてみると、ウィキペディア「ガラパゴス化」の記述にヒントがある。引用すると、「1.高度なニーズにもとづいた製品・サービスの市場が日本国内に存在する」「2.一方、諸外国では、日本国内とは異なる品質や機能要求水準の低い市場が存在する」。
つまり日本の技術水準は高く、外国勢が決めている国際標準(Java、WSなどなど)はレベルが低いと自己満足または「井の中の蛙」状態なので、いちいち個別の外国技術を取り込む必要は無いと思っているのであろうか。
日本のIT業界がガラパゴス化する理由
「FTTHの日本の優れた技術」と自画自賛していても、世界に売り込む人・組織がいないまま、ガラパゴス化してゆくケースと若干異なり、世界的なベンダー達が仲間意識で技術標準を策定してゆく様々な団体に、積極的に当事者として参加していない日本のベンダーやIT系企業には、言い訳以上の理由があるのかもしれない。
英語力がひとつの大きな壁であることがウィキにも書かれているが、ユーザー企業のIT部門の情報収集力、技術力、技術を見極める力が足りないのも理由かもしれない。消費者が賢くならないと商品は発達しないのが通常の世界での一般則だ。
携帯の機能・技術・デザインにうるさい日本の消費者あって世界に誇れる日本の携帯電話技術だが、情報システムの分野では、最新技術の商品を見る機会が少ないためか、物申す消費者は少ない。
IT技術の世界では、数分で分かる携帯電話技術とは異なり、長年に渡っての基礎技術の積み重ねがないと、技術は理解困難である。一種次元の違う技術であり、基礎を消化していないと評価も出来ず、取り込み不可能なものもある。 SOAがまさにそれだ。