TISは、旭化成が、基幹システムを「SAP S/4HANA」に全面刷新したと発表した。なお、TISは移行を支援したという。
旭化成グループは2003年に、旭化成と7つの事業会社を中核とする事業持株会社制の会計業務や工場の生産実績管理、原価計算等を担う基幹システムとして「SAP ERP」を導入。同システムの保守期間が2025年に終了することから、2018年頃から次期ERPの計画を開始したという。移行先はSAP S/4HANAとし、長年の運用で積み上がった膨大なアドオンや周辺システムを削減し、全面的につくり直す「リビルド手法(グリーンフィールド)」での導入を選択した。
2019年半ばには、ERPを全面刷新する大規模プロジェクトを発足。SAPが提供するPaaS「SAP HANA Enterprise Cloud(HEC)」に移行し、新技術を取り入れやすい構造へ一新したという。
設計・開発フェーズでは、アドオンや周辺システムの削減が大きな課題だった。アドオンを残す/削減するかの判断は、まず旭化成グループ内で審議し、業務影響が出ないかをTISが検証。その結果、既存の約2,400本のアドオンのうち1,300本を削減したという。さらに、BIツールで作成したレポートも約1,400種類に膨れ上がっていたが、約300種類まで減らした。
2023年1月に「SAP S/4HANA」の予算系の機能を利用開始し、4月から実績系が本番稼働している。また、旭化成グループは、CO2排出量管理のため、製品ごとにカーボンフットプリントを算出し取引先や消費者に開示する取り組みに注力している。新システムでは、原材料とその使用量、できあがった製品数をデータとして入手できるという。
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