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「ビジネス版LINE」故のジレンマ、LINE WORKSのセキュリティ対策をトップが語る

100ページ超の「セキュリティホワイトペーパー」刊行、ユーザーとの責任分界点を明記

 「ビジネス版LINE」を標榜し、これまで数多くのユーザーを獲得してきたLINE WORKS。一方、サービス名に「LINE」の名を冠していることから、昨今のLINEヤフー社によるセキュリティインシデントや行政指導による影響を心配する声も少なくない。こうした状況下、LINE WORKSは情報セキュリティ対策を中心にどのように舵取りをしていくのか。同社 代表取締役の増田隆一氏と、CISOおよびCPOを務める松本達也氏に聞いた。

LINEヤフー社に対する行政指導の影響「ほとんど受けていない」

 コミュニケーションアプリ「LINE」と同じ使い勝手で手軽に利用できるビジネスコミュニケーションツールとして人気を博している「LINE WORKS」。2024年1月時点でユーザー数は約46万社/500万人に達し、運営元のLINE WORKSは2022年9月にARR(年次経常収益)100億円を達成するなど、その事業規模を急速に成長させている。

 その一方で、サービス名や社名に「LINE」の名称を冠していることから、昨今大きく取り沙汰されているLINEヤフー社のセキュリティインシデントや、二度に亘る行政指導の影響を懸念する声もある。しかし、LINE WORKS 代表取締役 増田隆一氏によれば、実際にはそうした声はごく一部で、同社に対するユーザーやメディアからの問い合わせもほとんどないという。

 「2021年にLINEの個人情報管理の問題が報道された際には、弊社にもかなりの数の問い合わせがありました。しかし、そのときにLINEの運営元とLINE WORKSの運営元はまったくの別会社であること、そしてサービスや開発運用体制も異なることをお客様やパートナー様に繰り返し説明して理解を得ることができたため、今回のインシデントや行政指導の際には弊社への問い合わせはほとんどありませんでした。もちろん、経営への影響もまったくありません」

LINE WORKS 代表取締役 増田隆一氏
LINE WORKS 代表取締役 増田隆一氏

 ただし、500万人のビジネスユーザーを抱える巨大サービスの運営元であることの責任感を、あらためて強く実感する契機になったという。LINE WORKSではサービス規模の拡大に応じて、単にサービス自体を拡充するだけではなく、顧客により安心して利用してもらうために「説明責任」をしっかり果たすための取り組みに力を入れている。

 たとえば、2024年1月に社名をワークスモバイルジャパン株式会社からLINE WORKS株式会社に変更し、2024年5月にサービスブランドのリブランディングを行った際には、LINE WORKSのサービスを象徴する「Wアイコン」のデザインも刷新されたが、この中には「Trust(信頼)」を表す意匠が新たに盛り込まれ、サービスの安全・安心に注力する同社の姿勢がアピールされた。

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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