成長を続けるSUSE。日本を含むアジア太平洋地域にも注力
オープンソースのLinuxディストリビューターとして1992年に設立されたSUSEは、エンタープライズ向けLinux市場で実績を積んできた。2008年には、ソフトウェアパッケージのビルドと配布を自動化するOpenBuild Serviceを導入。2014年には、さまざまなLinux OSを一元管理できるSUSE Managerをリリースしている。
また、2020年にはKubernetesクラスタ管理のRancher Labsを買収するなど事業領域を拡大。2022年にはCentOS Projectによるサポートが終了した、CentOSの延長サポートなどを含んだ「SUSE Liberty Linux」を提供している。
そして、2023年3月にRed Hat出身のDirk-Peter van Leeuwen(ダーク-ピーター・ヴァン・ルーウェン)氏がCEOに就任すると、同年8月にはLinuxディストリビューターのCtrl IQ(CIQ)、Oracleと共に業界団体「Open Enterprise Linux Association(OpenELA)」を設立。これは、競合であるRed Hatが同年6月にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のソースコードの一般公開を制限したことに反応したものだ。OpenELAは、RHELと互換性のあるエンタープライズLinuxディストリビューションの開発を促進し、そのソースコードを無償で提供する活動を展開している。
今回訪日したノブリッヒ氏は、2023年7月にSUSEに参画しているが、実は同氏もRed Hat出身だ。CEOのルーウェン氏よりも1年早い2003年にRed Hatに入社すると、2021年までヨーロッパや中東、アフリカ地域の事業を率いて、数千万ドルの事業を15億ドル以上にまで成長させた実績を持つ。そんなノブリッヒ氏が訪日した目的は、アジア太平洋地域市場でのSUSEのプレゼンス拡大だ。
「SUSEは歴史的にヨーロッパ地域に強い基盤を持ち、現在では北米地域にも影響力を強めるなど非常にグローバルな企業となっています。その中、日本は非常に重要な市場であり、金融機関や製造業などの顧客も多く、成長の余地があるでしょう。私が入社した際、アジア太平洋地域の市場をより拡大したいと考え、日本支社のリソースを増やしました。同様の展開をインド、シンガポール、中国、韓国、オーストラリアでも行っています」