
Oracle NetSuiteは、2024年7月17日に日本で初めてグローバルツアーイベント「SuiteConnect Tokyo」を開催した。Oracle NetSuite エグゼクティブ・バイスプレジデントのエバン・ゴールドバーグ(Evan Goldberg)氏は、NetSuiteの前身であるクラウドERPを提供する会社を、クラウドやSaaSがまだ一般的でなかった1998年10月に立ち上げた。これは、Salesforce.com(現Salesforce)の創業よりも少し早い。昨年、NetSuiteは設立から25周年を迎え、日本でも既に18年以上にわたりビジネスを展開している。
グローバルビジネスを支えるNetSuiteの多機能性と柔軟性
NetSuiteは、財務会計、在庫管理、顧客関係管理(CRM)、販売管理、Eコマースなど、ビジネスに必要な主要機能を網羅したアプリケーションを、グローバル統一のSaaSとして提供。世界各国・地域の27言語、190もの通貨に対応し、海外拠点との連携や取り引きを実現できる。各国の会計基準や税制にも対応しており、法令遵守も容易だ。
そうした特徴から限られたリソースで効率的なビジネス運営を目指すスタートアップ企業や、グローバル市場での成長を追求する企業で数多く採用されている。日本だけでなく、海外でビジネスを伸ばそうと考える企業での利用も増加してきた。
「われわれは世界中の企業に、ビジネスで必要なアプリケーションを提供しています。NetSuiteのアプリケーションは各国地域のビジネスにも対応しやすく、企業の海外進出をサポートしているのです」とゴールドバーグ氏。グローバルで利用できるアプリケーションは、幅広い機能を網羅するだけでなく、現地の状況にもしっかりと対応する必要がある。その重要性は、日本におけるビジネスで学んだという。

その好例が“手形”のような日本独自の商習慣への対応だ。NetSuiteが日本に進出した当初、手形への対応は日本でのビジネスで極めて重要だった。その経験があるからこそ、日本独自の消費税制度への対応や適格請求書の処理などにも、いち早く対応している。グローバルでも同様で、各国の商習慣にも柔軟に対応できることから、世界展開する企業でのNetSuiteの採用が多い。
2012年に米国法人を設立して米国でビジネスを開始した、ソースネクストもその1社だ。2017年に自動通訳機器「POCKETALK(ポケトーク)」を提供。移民が多く、通訳機器の需要があることから米国でのビジネスは拡大傾向にある。2022年には、会社分割による子会社「ポケトーク株式会社」を設立、海外孫会社であるSOURCENEXT Inc.をPOCKETALK Inc.に商号変更した。そして、ポケトークのグローバル市場での事業拡大にともない、経営管理と内部統制の強化を目指し、NetSuiteを導入している。
日本のスタートアップ企業が米国で成功することが難しい中、ポケトークは2024年1月期から3月期の米国事業で、営業損益を四半期ベースで初めて黒字化。米国事業の好調を受け、同社は2024年3月に2025年中の株式上場を目指すことも発表している。
日本および米国のビジネスを連携させ、スムーズに運用する。そのために、ポケトークはNetSuiteを採用した。その上で、親会社のソースネクストは、NetSuiteの販売パートナーになることも決めている。自ら利用してサービスの良さを理解した上で、NetSuiteの販売支援を決めたのだ。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア