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富士通12万人で挑む“10年がかりの共同作業” 福田CDXOが公開取材で「フジトラ」の今を語る

 富士通はIT企業から“DX企業”への転換を目指し、業務プロセスや組織、企業文化・風土を変革する全社DX「フジトラ(Fujitsu Transformation)」に2020年10月から取り組んでいる。グローバルで12万人を超える同社の一大プロジェクトを率いるのが、執行役員 EVP CDXO 兼 CIO 福田譲氏だ。今回はフジトラの一環として、DXの取り組みや役に立つ情報などを共有する社員参加型のオンラインイベント「Fujitsu Transformation Now(以下、FXN)」に、「公開取材」という形で筆者が参加させてもらった。フジトラ開始から4年が経った今、福田氏は現在地をどう見据え、どのような未来を描いているのか。“本音”で答えてもらった様子をお届けする。

「ここ数年が勝負」富士通が今直面する“2つの壁”

──フジトラの開始から4年が経とうとしています。あらためて、富士通におけるフジトラの位置づけを教えてください。

 我々が達成したいことは、パーパスに掲げている「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」。これを実現するためには、事業や経営・マネジメントの在り方、業務プロセスはもちろん、組織風土や社員の行動様式など、あらゆるものを変えていかなければいけません。

 なりたい自分たちになるために、富士通の社員たちは今、フジトラに限らず様々な取り組みを通じて手を打っているところです。その打ち手を本当に実現するための“触媒”のようなものがフジトラだと捉えています。車でたとえるなら“エンジン”ですかね。

富士通株式会社 執行役員 EVP CDXO 兼 CIO 福田譲氏

──フジトラをはじめとする変革を推進する中で、直面している課題を教えてください。

 当社が事業を通してパーパスを実現していくための最も根幹となる取り組みが「Fujitsu Uvance(以下、Uvance)」です。組織のクロスインダストリーでの協力を活性化させて、これまでにない解決策やインサイトを導き出すことを目指しています。この取り組みを始めて3年目となる2024年には4500億円の売上を目指していますが、ここから数年間が真の意味で正念場になると考えています。Uvanceをいかに富士通の主力事業に育てていけるかどうかがこの数年にかかっているといっていいでしょう。

 もう一つの課題が「デリバリーの変革」。当社は製造業におけるサプライチェーンのグローバル化はそれなりに進んでいますが、サービス業のグローバル化はまだ取り組み始めたばかりです。従来の富士通は、日本の顧客には日本でモノを作って日本で届けるというスタイルをとっていましたが、これからは世界を相手に戦っていかなくてはなりません。世界中の最適な場所から、ベストな人材が十分に知識や経験を積んだ状態で、様々な事業をアセットとして効率よく届けられるようにしたい。そのためにサービスのデリバリーモデルをいかに成長させていくかが我々が乗り越えるべき重要な課題です。

 これは言葉でいうのは簡単ですが、実際はとても難しいことです。たとえば、日本で作った製品を海外の顧客に販売する場合、日本の顧客と海外の顧客のニーズは当然違いますよね。求められる大きさ、性能、価格、使う環境など様々なことに相違があるのでそのまま売ってもダメです。「世界で通用するモノづくり」にはこういった部分に難しさがあり、富士通自身もそこに課題があると思っています。これは日本の製品を海外の顧客へ届ける場合だけでなく、海外で作ったものを日本の顧客へ届ける場合にも同じことがいえます。

[画像クリックで拡大]

クロスインダストリーを実現するカギは“共創”

──Uvanceで掲げられている「クロスインダストリー」を実現するためには、富士通の社員が各産業に深い知識を持っている必要があると思いますが、実際はとても難しいことのように感じます。

 おっしゃる通りだと思います。難しいというか無理なので、そこでパートナー企業との共創が重要になってくる。最近の取り組みを例に挙げると、当社は2024年1月に東京海上グループとサプライチェーンにおけるリスクを可視化するサービス「Fujitsu Supply Chain Risk Visualization Service」を開発しました。これは保険業界とIT業界のクロスインダストリーによって生まれたサービスです。

 我々が日々接している様々な業種の顧客にとって、テクノロジーに強い富士通は、正直とても魅力的なパートナーに感じるのではないかと自負しています。我々もそのような企業とともに新しいものを作り上げていきたいと思っているので、その壁をどう乗り越えていくかが重要になってくる。壁を乗り越えるには、富士通があらゆる業種のあらゆる職種の人と会話ができるレベルに成長していかないといけません。

 そのために様々な“タネ”を蒔いています。モノづくりの仕方を「共創型」へと変革させたり、いわゆる「営業」の職種を「ビジネスプロデューサー」と改めることで役割を見直したり、組織体制を改変したりなど、取り組みは多岐にわたります。色々な工夫は施していますがそう簡単には変わらないので、長期的な視点で取り組んでいかなければいけないところですね。

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「失敗ばかり」試行錯誤の先に見えた“光”とは

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この記事の著者

竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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https://enterprisezine.jp/article/detail/20315 2024/09/26 08:00

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