アプライアンス製品が日本のSOAを救う?~コモディティーの時代に即したIT部門の役割とは
IMPACT AUTUMN 2009 JAPAN 特別レポート
ユーザーの懸念を取り除くSOAアプライアンス
アプライアンス製品の特徴が、今後発揮されると見られる領域の1つがSOAである。
SOAによるシステム構築が大きな期待を集めながら、日本企業の間で十分に普及していないことは広く知られているが、その阻害要因の1つに、XML通信が抱える品質と安全性に対する不安がある。Webサービスによって手軽にデータ交換を行えることはSOA環境の大きな利点だが、その反面、テキスト・データであるXMLをサービス間通信に用いるために、パフォーマンスの低下を招きやすく、セキュリティを確保するための手間もかかるという問題を抱えている。

そうした課題を克服するために提供されているのが、XML処理に必要な機能を切り出し、専用のハードウェア上に実装した「SOAアプライアンス」である。キャッシュ技術など駆使してXMLデータの高速処理や負荷分散などを行うほか、XML特有の外部攻撃からサービスを保護するためのセキュリティ機能、アクセス権の設定やポリシーに従ったルーティングなどガバナンス機能などを実装し、アプリケーション・サーバの負荷を大幅に軽減することが可能だ。なかには、既存のアプリケーション資産をSOA環境に組み込むうえで必要となるデータ・フォーマットやプロトコルの変換もサポートする、いわば「ハードウェアESB(Enterprise Service Bus)」とでも呼ぶべき製品も登場している。
「SOAアプライアンスは、機能だけに着目すれば“XML処理の外出し”したシンプルな存在だが、Webサービス標準を利用することによる手軽さと、信頼性・安全性を両立させるうえで有益な選択肢となりうる」(舘野氏)
また、舘野氏は、今後アプライアンスを活用したシステム構築手法が一般的になるにつれて、ユーザー企業のIT部門の役割にも変化が求められる可能性があると指摘する。「従来までの“作り手一辺倒”から、自社のシステム・アーキテクチャに沿って適材適所で製品やサービスを選択できる“目利き”としての能力がより問われることになるだろう」と語った。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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