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Miro、AI搭載の新プラットフォームを発表 富士通は非定型業務の効率化に全社導入中

 ミロ・ジャパンは10月31日、AI搭載した新プラットフォーム「イノベーションワークスペース」を発表した。

 同社は7月に、「オンラインホワイトボード」から「イノベーションワークスペース」への進化の第1弾として、AI機能を強化した「インテリジェント キャンバス」を発表している。今回はその完成形として、プロトタイプ機能、進捗キャッチアップ機能、テーブル機能などの機能群を追加し、イノベーション創出のための全行程を一貫して支援するという。

 同日開催された記者説明会でミロ・ジャパン 代表執行役社長 向山泰貴氏は、同社のビジネス進捗を説明した。向山氏は「この1年で(グローバルの)ユーザーは1000万人増えて、8000万人のユーザーに上る。個人の利用者も多いが、企業では25万社が利用している」と話す。米国の大手飲食料品メーカーのペプシコでは、世界各国のメンバーの協創にMiroを活用したことで、新商品の市場投入スピードが3倍以上に上がっていることを紹介。向山氏は「現在、“第2の創業期”と位置付けているが、ただのホワイトボードから、仕事をする場としてイノベーションワークスペースに進化して提供していく」と意気込みを述べる。

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ミロ・ジャパン合同会社 代表執行役社長 向山泰貴氏

 続いて、Miro Head of Designの千田麻衣子氏がイノベーションワークスペースのポイントを説明した。千田氏は多くの顧客と接する中で一貫して「いかに迅速に意思決定ができるか」「イノベーションが実現できるか」「アイデアから成果にスムーズに導けるか」ということが話題に上ると話す。

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Miro Head of Design 千田麻衣子氏

 課題を洗い出し、そこから絞り込み、検証し、必要であれば洗い出しに再度戻ったり、新たな洞察を加えたりしているといった流れが理想的だ。しかし千田氏は「多くの企業では理想に届いていない」と指摘する。そこで、イノベーションワークスペースでは、これらの流れを一貫してサポートできるように設計したと話し、4つのポイントを紹介した。

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  • 共にイノベーションを:チームを1つのスペースに集めることでインタラクションとエンゲージメントを向上させ、非同期アクティビティと同期アクティビティの異なる点を結びつけることが可能
  • 迅速にイノベーションを:Miroは非構造化作業からより構造化された形式への移行をサポート。AIを搭載したAIパートナーと新しいインテリジェントテンプレートによって、ワークフローにAIを導入
  • 思い通りのイノベーションを:「Microsoft Copilot」や「Adobe Express」など150以上の一般的な業務アプリケーションが統合
  • 安全にイノベーションを:Miro内の機密性の高いコンテンツを自動的に識別、分類、保護するMiro Enterprise Guardを使用することで、安全性を強化。イノベーションワークスペースには、ビルトインのデータ検出、Jiraおよびコードブロックのデータ検出、顧客のキーワード検出およびIP検出、OCRデータ検出を追加

 Miroを使う企業事例として、富士通 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX Officer 小久保義之氏が登壇した。同社では2020年10月から全社DXプロジェクト「フジトラ」を開始している。オフィス移転やリモートワークの継続で、働き方に対する意識や働く場所・環境の変化はあったものの、次の課題はワークスタイル変革という。具体的に同社は2023~2025年度の中期経営計画で、2022年度比で一人当たりの生産性を40%増加することを掲げている。ここでいう一人当たりの生産性とは、営業利益を社員数で割ったもの。社員数は維持する方針のため、主に売上増とコスト減、社員のスキル向上のアプローチとなる。

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富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX Officer 小久保義之氏

 コスト減につながる業務効率化について小久保氏は、全社プロジェクト「OneFujitsu」を挙げ「全世界の業務システムを一元化することで定型業務を効率化していく」と話した。一方の非定型業務の効率化では、全社員をデジタルパーソンにする「OneDigital」というプロジェクトを立ち上げたという。同プロジェクトでは、Miroをはじめ、ワークフローマネジメントや生成AI、RPAなどのデジタルツールを全社員が駆使していくことを支援する。中でもMiroをキーアプリケーションと位置づけ、全社員に展開予定で、9月時点で23,000人が利用しているとした。

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 また、Miroを活用することで会議の質を上げることに役立てるなど、Miroを使う際の「虎の巻」を作成して全社に配布もしている。合わせて、社内会議の情報をダッシュボード化しており、同社では一人当たり月間30時間の会議時間が最もエンゲージメントが高いことが判明したという。小久保氏は「どのくらい会議しているかを可視化し、理想の形に近づけるように、データドリブンな働き方を進めていきたい」と話した。

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この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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