創業112年のヤンマーがAI時代を見据えてデータ基盤を再構築中 “全社資産”として活用へ
現場発の好事例を横展開すべく、タスクフォースを筆頭に“トップダウン”で推進

2024年11月21日、EnterpriseZine編集部主催のオンラインイベント「Data Tech 2024」が開催された。基調講演にはヤンマーホールディングス 取締役 CDO AI戦略推進部長の奥山博史氏が登壇し、「創業112年のヤンマーが挑む、AIファーストのデータ基盤の再構築」と題した講演で同社が進めるデジタル戦略と、その中核に位置するデータ基盤構築・データ活用の施策について紹介を行った。
デジタル化の真の目的は“フィードバック・ループの高速化”
ヤンマーホールディングスでは現在、デジタル技術を使って顧客へ新たな価値を提供すべく、「デジタル中期計画」に基づいて様々な施策を推進している。同計画が最終的に目指すゴールについて、奥山氏は次のように説明する。
「私たちが現在進めているデジタル化の目的は、『課題・仮説の設定』『情報/データ収集』『意思決定』『アクション』という4つのフィードバック・ループを、できるだけ高速に回すことにあります。これによって内部プロセスや製品の進化スピードを速め、ひいてはお客さまにより高い価値を提供することが最終ゴールです」

たとえば、奥山氏がかつて所属していた建設機械の事業部門では、連結ベースの製品別損益をもっぱら人手作業に頼って算出していたため、最終的な確定値を出すまでに数ヵ月もの期間を要していたという。これを、マスターデータベースやデータ統合・連携基盤、BIツールなどを整備し、週次・月次で素早くフィードバック・ループを回すことで、より鮮度のいい情報を基に的確な意思決定が下せるようになることを目指している。
また製品の稼働データを収集し、それを基にAIモデルを自動的に再学習・構築した上で、製品内に組み込んだAIを自動アップデートすれば、製品の進化スピードを速めることができる。
このようにデジタル技術を駆使してフィードバック・ループを自動的に高速実行し、プロセスや製品を素早くアップデートしていきながら顧客により高い価値を継続的に提供し続けることこそが、同社にとってのデジタル化の真の目的だという。
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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