日本企業の強みを活かした「モダナイゼーション」の進め方
前述したような資質や能力を備えたCIOを抱える日本企業は、どれほどあるだろうか。ここで重要になるのは、CEOのコミットメントだ。マクギル氏は「日本企業には保守的な側面も見受けられますが、CEOレベルで変革にコミットメントすることは欠かせません。CIOが不在だとしても、日本企業には世界に誇る『プロセス管理』能力があります。これを活かしてモダナイゼーションを進めることが、成功への道筋となるでしょう」と説明する。
オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence)と捉えられることの多い日本企業、プロセス管理や変更管理に強いという特性は製造業、保険業界、銀行業界など業界を問わずに共通だろう。それ故に先述した資質を有したCIOが不在の場合でも、こうした独自の強みを活かすことで段階的にモダナイズを進められるという。
もう1つの重要な要素として、ファウラー氏は「信頼できるパートナー」の存在を挙げた。この点に関して、老舗企業ともいえるRocket Softwareやパートナー企業に対する期待も大きいだろう。最後にファウラー氏は、今後のビジネス展開と日本企業に向けたメッセージを語ってくれた。
「『何もしない』という選択肢は、『リスクを抱えない』ということになりません。むしろ、モダナイゼーションに取り組まなければ事態は悪化し、企業は競争力を失います。『2025年の崖』として指摘された課題も深刻化することでしょう。私たちは多くの成功事例を知っており、日本企業に成功をもたらす自信があります。ぜひ、困ったときには声をかけてください」(ファウラー氏)