AIエージェント導入が加速──事前定義済みスキルライブラリーで即戦力化
Agentforceの裏側では、すべてのモデル、データ、ビジネスロジック、ワークフローを1つのシステムに統合されている。2.0へのバージョンアップで、複雑な質問に的確な回答を提供してくれるようになったのはうれしいが、常に人間から質問を投げかけなくてはならないようでは困る。AIエージェントはアクションを実行できる存在であるべきだ。もっと言えば、その行動範囲が、営業やカスタマーサポートのような特定の部署内に限られるようでは、戦力として期待できない。できるだけ早くAIエージェントを現場に展開したいと考える企業の懸念を払拭しようと、セールスフォースがAgentforce 2.0に導入したのが事前定義済みのスキルライブラリーである。
スキルとはアクションをパッケージ化したものだ。アダム・エヴァンス氏(Salesforce AI エグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー)は「Agentforceにおけるスキルは、新しいエージェントの能力を構築するための基本的な概念になる。スキルの中には、Salesforce内のアクション、SAPやWorkdayに接続してのアクションの他、アクションをどのように行うかを記述した指示も含まれる。また、エージェントは複数のスキルを持つことができる」と説明した。
データと行動範囲を統合──CRM境界を超えたパワフルなアクション実行
Agentforce 2.0では、以下のようなスキルが提供開始になった。
CRMスキル
営業向けには、Sales DevelopmentやSales Coachingのスキルが利用可能になった。AIエージェントに企業独自のルールに基づくリードナーチャリングを任せたり、商談後に同席してもらっていたAIエージェントから改善フィードバックをもらったりすることが可能になる。また、カスタマーサポート向けでは、Customer Support、Employee Support(2025年2月予定)、Agentforce Voice(2025年3月予定)、マーケティング向けでは、Campaign Creation、Personalization(2025年春予定)、Paid Media Optimization(2025年春予定)、eコマース運営向けでは、Merchandising、Buying(2025年2月予定)、Personal Shopping(2025年2月予定)が一般提供開始になった。
TableauスキルとSlackスキル
Tableauでは、Data PreparationとData Visualizationの2つのスキルが一般提供開始となった。Tableau Vizの作成、セマンティックデータモデルからのインサイト抽出、ビジネスの文脈に即した正確な回答の作成などのアナリティクススキルで、AIエージェントを拡張できる。また、2025年2月にAgent BuilderでSlack Actionsが利用可能になることに伴い、AIエージェントがプロジェクトの最新状況を要約してダイレクトメッセージ(DM)で送信したり、進行中のプロジェクトで顧客から変更依頼があった場合のSlack canvasを更新したりすることも可能になる。
また、Agentforce 2.0では、MuleSoftとAppExchangeでAIエージェントを拡張できるようにもした。MuleSoft Topic Centerでは、AgentforceのメタデータをすべてのAPIに組み込み、あらゆる接続ポイントを自動的にAgentforceのスキルやアクションに変換できる。さらに、パートナーアプリケーションのスキルをAppExchangeを経由して利用できるようにもした。たとえば、払い戻しを処理するためにSAPに接続したい場合や、従業員のオンボーディングのためにWorkdayに接続したい場合に、Agentforce 2.0 は CRMアプリケーションの境界を超えたアクションを実行できる。