Xanaduの最新AI機能と業界別ユースケース

2024年第3四半期にリリースしたServiceNowの最新バージョン「Xanadu」は、ここ3回のリリースの中で最もAI関連機能が強化されたものになる。具体的な強化領域は「コアテクノロジー」「業界ごとのユースケースに特化したAI」「アクションに繋がるAI」「サービスと業務の回復力」の4つで、いずれも企業が抱えるビジネス課題への対応を意図している。中でも、生成AI関連でリリースされたものを製品体系で整理したのが図1になる。

ServiceNowの生成AI機能「Now Assist」は、ワークフローに組み込んで使ってもらうことを前提に提供している。これは日々の業務の中に組み込んで価値を実感してもらいたいという狙いが込められている。今回のXanaduでは、すでにCustomer WorkflowsやEmployee Workflowsで提供している生成AI機能に加えて、Industry Workflowsにも新機能が加わった。具体的には、ServiceNowが強みとするTechnology, Media, and Telecommunication(テクノロジー/通信/メディア)業界の保守業務、Financial Services Operations(金融サービス)のミドルオフィス業務のワークフローに生成AI機能である。
そして、企業のデータ活用で、アクションにつながるインサイトの獲得が重視されることを踏まえ、スキルライブラリーの「Now Assist Skill Kit」の提供を開始した。これは「ケースの要約作成」「ナレッジ記事の新規作成」のように、スキルという形で生成AI機能を提供してきたものをカスタマイズできるようにするものだ。このNow Assist Skill Kitを利用し、企業は新しいスキルをワークフローに組み込むことができるようになった。この機能は、「今後のAIエージェントの展開に関連するものになる」と佐宗氏は説明した。
また、AI活用とは切り離せないデータについては、大規模なデータ処理での高パフォーマンス要件に対応するため、Raptor DB Proを提供する。RaptorDBとは、トランザクション処理とアナリティクス処理を、単一プラットフォームの「Now Platform」上で実行できるようにしたものだ。通常、ServiceNowのユーザーが直接データベースにアクセスすることはないが、ServiceNowのデジタルワークフローの裏では、これまでは別のデータベースが動いていた。複雑化が進む企業のデータ環境でも、顧客がデジタルワークフローを拡張できるように、ServiceNowでは順次このデータベースをRaptorDBに置き換える取り組みを進めている。RaptorDB Proは、より高いパフォーマンスを求める顧客に対して提供する機能オプションになる。
この他、Technology Workflowsの領域で、SecOps向けの生成AI機能、ITSM向けに変更要約の機能が利用できるようになった。Technology Workflowsの領域は、比較的ユーザーが多く、優先的に生成AI機能の実装が進んでいたが、さらに追加で加わったのがその2つの機能になる。