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ANAの人的資本投資事例──DS経営で解決する日本企業の30年停滞

「BlackLine Summit 2025」レポート#01

株主優先から従業員優先へのシフト、気になる株主の反応

早稲田大学商学学術院 教授 オックスフォード大学博士・元主任教授 スズキトモ氏
早稲田大学商学学術院 教授 オックスフォード大学博士・元主任教授 スズキトモ氏

スズキ:株主を一番に据える企業が多いですが、株主から叱られませんでしたか。

中堀:ありがたいことに「今は競争力の源泉である人的資本を整えてほしい」と後押しをしてもらいました。ただし、非財務の取り組みが、いずれは財務的価値につながるように示してほしいと宿題をもらっています。

日置:投資家との関係ができていないと、そうは言ってもらえませんよね。

中堀:人的資本経営の取り組みは、ANAグループの企業価値向上の必要条件です。定性的な説明だけでは不十分で、定量的な説明と合わせてステークホルダーと対話をしていきたいと考えています。因果関係はまだ難しいのですが、そう遠くない将来に、相関関係は説明できそうです。

スズキ:コロナ禍を経験し、従業員を大切にする方向性が決まったとはいえ、すぐに出せる定量的データはない。投資家から数字を求められても、「すぐに対応しなければ株価に影響するのではないか?」と、必要以上に怖がることはないとわかります。

日置:人的資本経営では、「何をやっていいかがわからない」という声もよく聞くところですが、ANAグループでは、何を意識して投資していますか。

中堀:特に力を入れているのが、従業員に当事者意識を持ってもらうことです。その一環で、管理型から共創型のマネジメントスタイルへの移行を進めており、私自身も経営陣と1on1ミーティングの時間を持つようになりました。ミーティングも多人数との対話をこなすのではなく、1人との対話の質を高めようとする方向に変わってきたところです。

日置:従業員にはうれしい変化ですね。

中堀:因果関係が見えるところまで辿り着かないと、打ち手が正しいかを判断できませんから、引き続きチャレンジしたいと思います。

日置:ここからはQ&Aタイムに移ります。

人手不足や多忙は積極投資の阻害要因か?

Q1:R&Dやデジタル技術を活用した業務改革への投資が伸びないことの1番の原因は、資金ではなく社員の繁忙・人手不足にあると考えています。日本企業全体ではそのような傾向はありませんか?

スズキ:一番正しくて一番つまらない答えになりますが、ケースバイケースだと思います。労働力人口が減少している成熟社会で、R&Dへの投資意欲が湧かない。よくわかります。だからと言って、株主の還元要求に応じて自社株買いに飛びつくのは「社内に将来のお金を産むプロジェクトがない」と市場に宣言しているのと同じです。そんなCFOにプライドはないと私は思います。すみません。

日置:2025年2月に2兆円超の中小型機への投資を発表し、積極姿勢を示しました。ANAグループに人手不足の問題意識はありますか。

中堀:人手不足による繁忙は、新しいことへの挑戦の制約になりますが、自分の意思で何かをやろうとする人たちをバックアップしたい思いは強いです。ANAグループの場合、「Da Vinci Camp」と呼ばれるグループ社員対象の提案制度があり、毎年多くの応募があります。現場には提案書をうまく作れない社員もいますが、現場の人たちの方が練られた提案を持ってきますよ。

日置:会社としてチャレンジできる環境を作り、最初の一歩の後押しをしているわけですね。

中堀:最初からフルコミットを求めているわけではありません。良い提案をする人に限って忙しい傾向がありますし、投資枠は用意していますが、人手不足の悩みは同じです。

日置:個別の企業の中だけでやろうとするから、行き詰まるのかもしれませんね。会社の枠を越えてみると、意外にできることがあるのかもしれない。業界再編をしろとまでは言いませんが。

Q2:ワニの口グラフは面白いと思いましたが、負債調達(劣後債)を考慮していないのは、考えがあってのことですか?

スズキ:私が若い頃、「証券市場は非常に大切である」と教わりました。投資家がリスクを取って出資してくれるから、企業が成長し、人々の暮らしが豊かになるのだと。ところが、英国から日本に戻ってきた時、そうは思えない。株主還元ばかりが多いと感じたのです。だからワニの口グラフを作りました。このグラフで、私がやりたかったのは、株式市場で株主がどう行動しているのか、あるいはそれに対して取締役がどう行動しているのかを、調べ、疑問することでした。なので、負債調達はとりあえず外したのです。また、長くゼロ金利が続いてきたことも考慮外とした理由の1つです。今後、金利が高くなってきたら、負債調達の動向を加味する可能性はあります。

日本全体では「ワニの口」だが、積極投資をしている企業は「ワニの口」にならない 出典:スズキ研究室 [画像クリックで拡大]

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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス連載記事一覧
この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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