2025年5月22日、ソフォスは事業戦略説明会を開催した。

ソフォス株式会社 代表取締役 足立達矢氏
Sophos プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント Rob Harrison(ロブ・ハリソン)氏
現在、日本国内において425社のパートナーが同社製品・ソリューションを提供する中、同社 代表取締役 足立達矢氏は「(日本における競合他社製品の)価格が高騰し続けていること、脆弱性の懸念が払しょくできないことを理由にビジネスが伸長している」としてMDRを筆頭に一昨年からビジネスが堅調に推移していることをアピール。2月に買収完了したSecureWorks(セキュアワークス)「Taegis」をポートフォリオに組み込んでいる。

2025年度における事業戦略として、XDRとMDRによる昨年対比2倍の売上伸長を継続させていくことを掲げ、“One Sophos”として営業やSE、マーケティングを含めて組織体制を拡充。MDRについても国内リソースを増強する構えだ。Sophos アジア太平洋地区担当シニアバイスプレジデント Gavin Struthers(ギャビン・ストラザーズ)氏も「グローバルの各市場平均と比べても、日本市場は急速に成長している。つまり市場シェアを他社から獲得できているということだ」と強調する。
現在1社あたりが利用するセキュリティツールは45種類、取り引きするセキュリティベンダーの数も10社ほどとセキュリティ担当者やCIO/CISOにとって適切な管理が難しく、ますます環境が複雑化しているとストラザーズ氏は指摘。「経営層からのコミットメントがない、予算不足、十分なスキルを有していないなど、これらを理由に(サイバーセキュリティ対策における)理想と現状に乖離が生じている」として、ソフォスでは企業規模の大きさ、リソースに依らず、最適なサイバーセキュリティ対策を講じられるポートフォリオを展開しているとする。
NIST CSF 2.0でガバナンスの要素が強調されるようになった状況下、経営層のコミットはもちろん、CISOの存在価値が増してきた。一方、「その役割は民主化してきた」ともストラザーズ氏は話す。CISOを軸とした形でNIST CSFが構築されているが、グローバルすべての企業(約3億5900万社)におけるCISOの割合は、わずか0.009%に留まる。そこで同社ではプラットフォーム化を推進することで、より容易にすべてのセキュリティ製品を統合管理できるようにしていき、AIを活用することで運用の自動化も進めていくという。なお、セキュアワークスを統合する中でも「従来通りの価格で製品・ソリューションを提供するだけでなく、そのサービス水準も維持・向上していく」と述べると、3-4年ほど前に日本国内のデータセンターに数百億円ドル規模の投資をしているように、今後もコミットメントを強めていくことを強調した。
続いて、同社 プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント Rob Harrison(ロブ・ハリソン)氏が登壇すると、セキュアワークス買収完了後のロードマップを下図のように提示。現在は「Sophos Endpoint」にTaegisを統合している最中であり、アイデンティティ製品やアドバイザリサービスを提供していき、Taegisを「Sophos Central」に組み込んだ先に新製品の提供が見えてくるとした。

「Sophos Centralは約60万社が利用している中、既に50種類以上のモデルを提供するなど、業界最大のAIネイティブプラットフォームだ」とハリソン氏。「Sophos AI Assistant」によるアナリスト向けの要約、自然言語による検索・設定などの業務効率化はもちろん、SOC運用の自動化に向けて、AIや周辺技術の研究・開発を継続していくとする。
「我々は求められる結果を出すための製品・ソリューションを展開していく」(ハリソン氏)
【関連記事】
・ソフォス、セキュアワークスを約8億5900万ドルで買収完了 MDR特化のプロバイダーへ
・ソフォス、中国のサイバー脅威グループによるスパイ活動の実態を報告
・東京海上日動火災保険、セキュアワークスのインシデント対応サービス導入 サイバーリスク保険の特定顧客に提供
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア