メンバー全員が一生懸命仕事をしても、どこかでボトルネックが生じ、進行が遅れがちになる。残業や徹夜など力技で乗りきるものの、評価が得られず、やりがいが失せている人も多い。このような開発現場での課題を解決するにはどんなマネジメント手法があるのか。
プロジェクトを同時並行で進めてはならない
ゴールドラットコンサルティング ディレクターの岸良裕司氏が理事を務めるTOC推進協議会。「ザ・ゴール」の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士によって開発されたTOC(制約理論)は、物理学をベースとしたハードサイエンスとして位置づけられるもので、その基本原理を応用したプロジェクト管理手法がCCPMだ。

このCCPMは、ソフトウェア開発の現場で起こっている問題を解決する鍵になるものだ。ソフトウェア開発の現場では誰もがプロジェクトを早く完了させるべく懸命に働いているにもかかわらず、予期せぬ問題や報告の不備によって予定通りに進まないことが常だ。
新しいプロジェクトを早くスタートしたいと思っても、既存のプロジェクトが完了していなければそれができない。スタートが遅れると、開発期間が長くなり、顧客の要件も変わってしまう。そしてそのプロジェクトの完了はますます遅れてしまう。岸良氏が「出口のないトンネルに迷い込んでいるのが現状だ」と表現する状況をいかにすれば脱出できるのか。氏はここで参加者に次の問題を提示する。
「プロジェクト1は1~20、プロジェクト2はA~T、プロジェクト3は△○◇という図形を順に20個書く。これら3つのプロジェクトを同時に進めた場合と、一つずつ進めた場合ではどのように結果が異なるか」

いかがだろう。岸良氏によれば、前者は90秒、後者は40秒かかるのだという。どちらの方法でも10文字にかかる時間は同じ5秒になるはず。しかし、実際にプロジェクトを同時に進めると、倍以上の時間がかかる上に品質も良くない。かかるストレスも大きくなるし、キャッシュフローも悪くなる。つまり、「まずはマルチタスクを撲滅すること」が大切だというわけだ。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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