チェック・ポイント・リサーチ(以下、CPR)は、2025年8月のグローバル脅威インテリジェンスレポート(Global Threat Intelligence Report)を発表した。
標的となっている業界
- 教育・研究分野は依然として最も標的とされる業界であり、1組織当たり週平均4,178件の攻撃を受け、前年比13%の増加を記録したという
- 通信業界は、同2,992件の攻撃でこれに続き、28%という急激な増加を示している
- 政府機関は同2,634件の攻撃によるプレッシャーを受け続けており、前年比で3%増加したという
- 農業分野は、すべての業界で最も著しい増加率を示しており、前年比101%増を記録。現代の農業は、自動かんがいシステムやIoTセンサー、ドローン、サプライチェーン管理プラットフォームなどのテクノロジーに大きく依存しており、この依存状況が脅威アクターに広範な攻撃対象領域を生み出しているという。さらに、多くの農業組織はほかの業界に比べてサイバーセキュリティへの投資が少ないため、重要なシステムの多くが攻撃に対して脆弱な状態に置かれているとした。結果として脅威アクターは、農業分野を高利益で戦略的に重要な標的と認識。食料生産を妨害することは、ただちに経済的な損失をもたらし、食の安全を脅かすだけでなく、地政学的な武器として利用される可能性があるという
これらの変化によって、依然として重要インフラと公共サービスの双方が、脅威アクターの主要な標的であることが浮き彫りになったとしている。
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地域別の比較
地域別の傾向から、脅威の深刻度に差があることが示されたという。
- アフリカでは、攻撃数の推移が前年比3%減にもかかわらず攻撃数は地域別で最も高く、1組織当たり週平均3,239件に上ったとしている
- APACでは同2,877件(前年比2%増)を記録したという
- ラテンアメリカは同2,865件(前年比6%増)という僅差でこれに続くとのことだ
- ヨーロッパでは13%という顕著な増加が見られ、同1,685件に達したという。北米は前年比20%という最も高い増加率を示し、同1,480件の攻撃を記録したとしている
これにより、脅威状況における地域格差の拡大と先進経済圏における急激な悪化が深刻化しているとのことだ。
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ランサムウェア攻撃の深刻化
ランサムウェアは依然、非常に破壊的な被害をもたらす脅威ベクトルのひとつだとCPRは述べる。8月には531件のランサムウェア攻撃が報告されており、前年比で14%増加したという。
- 北米は最も深刻な被害を受けており、報告されたインシデント全体の57%を占めたとしている
- ヨーロッパが24%でこれに続くという
- 米国だけで攻撃の54%を占めたとしている
- 英国(7%)とドイツ(6%)も主要な標的に含まれるとした
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業界別のランサムウェア被害状況
ヘルスケア・医療、消費財・サービス、金融サービスをはじめ、そのほかの業界も大きな影響を受けているという。
- 「製造業」が最多となり、被害全体の13.6%を占めている
- 次いで「ビジネスサービス業界」は11.9%、「建設・エンジニアリング業界」は10.4%と続いたという
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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