100ページを超える企画書に出席者全員が「気絶」
今回から企画書Hack!講座を連載することになりました。
本編に入る前に実際に経験したことをご紹介します。わたしはだいたい「プレゼンする側」なのですが、あるプロジェクトメンバーの時に「プレゼンされる側」にまわったことがあります。システムのリニューアルに関して大手三社のプレゼンを受けたのですが、その中の一社のことです。
何と総勢10人ぐらいでやって来ました。その中の1人がプレゼンテーターをつとめるようで、100ページを超える企画書が配布されました。先方も含め10数人全員に配布されたのですが、恐ろしい枚数をプリントアウトしたものです。
まあそれはよしとして、プレゼンテーターが企画書を読み始め、「では2ページ目」「次は3ページ目をご覧下さい」とすすめていくのですが、「では20ページ目」と、いつまで経ってもそのペースが変わりません。すでに1時間近く経過していきます。「このペースで最後まで読むのか」と思って、こちらサイドのメンバーを見たら、全員すでに遊体離脱状態でぐったりしています。「これじゃ終わりませんよ」と、こちらのプロジェクトリーダーに耳打ちすると「せっかく説明してくれているんだから、聞いてあげようじゃない」と力なく答えます。
さらに驚きは、その間、向こうの残り9人が黙ってページをめくっていること。会場の中には「ペラッ」という紙をめくる音が一斉に響きます。「では89ページ目」「では90ページ…」。終わったのが3時間後。東京から新幹線に乗れば新神戸に着いていそうな時間です。ようやく牢獄から解放されました! 途中で「この苦しみから解放してやるからサインしろ」といわれたらサインしたでしょう。そういう深い戦略だったのかも知れません。
プレゼンの結果? まあ、説明するまでもないでしょう。
長い企画書にはサマリーをつけろ!
今回の例は、誠実に全部説明しようとして、こんなことになってしまった事例です。量が多いから悪いと言うことではないのです。考え得るいろんなパターンを念入りに説明しなくてはいけないときもあるでしょう。では、どうすれば良かったのでしょうか?
サマリーをつけてくれればよかったのです。必要な部分を5~10枚ぐらいにまとめて。
決裁権を持つ人間がいるのだから、サマリーを説明して、あとは必要な部分だけ、大量のペーパーから、かいつまんで説明してくれればいいやり取りができたはず。
かつて、たくさんの分量の企画書をつくることがクライアントへの努力の見せ方だ、と真面目に語っていた人がいました(本当です。筆者の耳が聞きました)。
それは自己満足に過ぎないのではないかと思っていましたが、黙っていました。そして月日が流れ、現在は事業のスピードがますます速くなっています。クライアントも忙しい。自分だってさまざまな案件を抱えている。そんな中、求められる企画書スタイルとは「スピード感のある企画書」だと思います。そこには2つのスピードの意味があります。
- スピード感を持って作成すること
- スピード感のあるプレゼンができること
本連載では、『「速く」「通る」企画書をつくるために、すぐに使える技術』を伝授することを目的とします。次回から具体的なスキルをご紹介していきたいと思います。ぜひお楽しみに!