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調達部門の働き方を変える“次世代のAriba”、人とAIが協働する調達プロセスの在り方とは?

SAP Connect 2025:現地レポート

次世代Aribaの司令塔「SAP Ariba Launchpad」

 では、調達部門にとって“次世代Ariba”とはどのようなものになるのか。ファン・チャン氏(EVP & Chief Product Officer, SAP America, Inc.)は、「次世代Aribaのユーザー体験の中心は、新しいSAP Ariba Launchpadにある」と語った。

 Ariba Launchpadは、従来型のビジネスダッシュボードに似て非なるものだ。企業の購買プロセス全体を管理する統合AIプラットフォームとして設計されており、画面もプロセスに関わる担当者それぞれの役割と業務内容に応じてパーソナライズされている。

図:SAP Ariba Launchpadの画面(出典:SAP)
図:SAP Ariba Launchpadの画面(出典:SAP)

 新たなAriba Launchpadでは、AIが業務のナビゲーション、やるべきことリスト、アクションにつながるインサイトを提供してくれる。たとえば、エネルギー調達担当のカテゴリーマネージャー(以下、担当者)が、ソーラーパネルの追加購入を検討していたとしよう。するとAIが、「新たな関税措置がソーラーパネルの価格に影響を与えている」というアラートを表示する。このアラートはAriba Category ManagementからAriba Launchpadに届いたもので、ユーザーはリンクをクリックすれば情報ソースの詳細を確認できる。

 また、新しいソーシングイベントの作成から、入札内容の分析、契約管理、調達まで、AIがプロセス横断的に担当者をサポートしてくれる。前述の例では、AIエージェントのCategory Strategy Assistantが、並行してカテゴリー戦略の分析を行い、担当者に「デュアルソーシングあるいはマルチソーシングを行う必要がある」と提案した。マネージャーがこの提案を承認すると、カテゴリー戦略をシステム内で更新してくれる。

 新しいサプライヤーの探索から始まる調達手順の準備もAIが進めてくれる。次世代Aribaの裏側で、AIは調達から支払いまでのプロセス全体にわたって調和のとれたデータにアクセスできる。また、AribaからSAP Business Networkへの接続も可能なため、AIエージェントは担当者に世界中のサプライヤー候補と調達可能な品目を示すこともできる。

 さらに、ソーシングイベントの実行後にサプライヤーからの入札が始まると、AIエージェントは入札に応じたサプライヤーからの回答を分析し、担当者に理解を促すこともできる。この例の場合、関税の影響を最小限にするためには、特定地域のサプライヤーに依存しないようにしておきたい。AIエージェントは、担当者が「デュアルソーシングあるいはマルチソーシングのための新しいサプライヤーを探している」こと、つまりこれまでの文脈を維持した上で、マネージャーのタスクをサポートしてくれる。

ファン・チャン氏(EVP & Chief Product Officer, SAP America, Inc.)
ファン・チャン氏
(EVP & Chief Product Officer, SAP America, Inc.)

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契約から支払いまでAIエージェントがサポート

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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