「決断力の変革」こそがデータ活用の真価──カギとなる“産業”を知り尽くした自律型デジタルワーカーとは
42年の知見から生まれた“産業特化”の自律型AI、対応スキルは既に150種類
人が担うのは“承認”だけ、学習で進化し続ける「デジタルワーカー」が協働でアクションまで遂行

ここで竹中氏は、エージェント時代のIFS Cloudにおける進化の象徴ともいえる、自律型AIデジタルワーカーの実働デモンストレーションを披露した。デモで紹介されたのは、受信した1本のメールを起点に、3つのデジタルワーカーが連携して業務を完結させる様子である。
まず、「サプライヤー調整エージェント」が受信したメールを自動解析し、送信者の意図を汲み取る。すると、送信者である顧客が、単価の変更を要求していることが判明。この意図を汲んだエージェントは、現在のサプライヤーが適切かどうかを自動判定し、責任者(人間)にTeamsで「この件について相談に乗っていただけますか?」と自動的に問いかける。
責任者が相談の内容を見てみると、エージェントが2社の仕入先を変更することを推奨している。その理由を確認し、たしかに仕入先の変更が必要だと判断。エージェントの提案を了承すると、次に「サプライヤー選定エージェント」が自動処理を開始する。最適な仕入先を選択し、単価も変更した上で後続ジョブに流すのである。すると最後に、「サプライヤーコミュニケーション・エージェント」が自動で部署横断的な処理を完了する。
この一連の流れの中でエンドユーザーとAIが接点を持つポイントは、責任者による「承認」のみだった。
IFS Cloudは2025年度の時点で、約150種類の業務とスキルに対応できる自律型のデジタルワーカーを実装済みだ。現時点でデジタルワーカーが企業に提供するのは、以下6つの価値である。
- 繰り返し作業の削減:手作業を自動化し、チームはより価値ある業務へ集中できる
- スマートなリアルタイム意思決定:自律的な判断で非効率を削減し、俊敏性を向上させる
- 企業データの統合:AIがデータとシステムをつなぎ、迅速で実用的なインサイトを提供する
- 追加コストなしでスケールとスキル向上を実現:自動化で人員・コストを増やさず業務能力を拡張する
- 設計段階からコンプライアンスを確保:ガバナンスを組み込んで安全なワークフローと法規制遵守を実現する
- 継続的な学習と適応力:エージェントが学び続け、常に進化する自動化を実現する
「最も重要なことは、企業活動に必要なデータを“意味のある内容”として活用し、必要な時・迫られた時に迅速に意思決定できることです。IFSユーザーの多くは、現場レベルで既にこれを実現しています」(竹中氏)
これらを提供するIFSジャパン自身もまた、自社内での実践例を示している。同社は2023年より、エージェント型AIを日常の営業活動に導入した。その結果、従業員数は微増にとどまる一方で、売上は計画通りに推移し事業拡大を達成している。
「我々自身もAIを効果的に活用しています。AIやデータを活用する仕組みを実装すれば、たとえば営業なら本来狙うべき案件や対象を絞り込んで、効率的かつ効果的な売上の増加を継続できるようになります。これこそが、データとAIによる決断の変革です」(竹中氏)
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:IFSジャパン株式会社
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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