定型業務を7割削減 「AIエージェント」が実現支える
FP&AI部が掲げる具体的な数値目標の一つに、「定型業務の70%自動化」がある。これは現在の業務を棚卸し、70%程度は削減可能という見通しに基づいたものだ。
ここで削減対象となっている70%の業務は、「会計システムと管理会計システムをデータ連携し、予実分析に基づいた資料を作る」という一連の作業を指す。経営企画やFP&Aの担当者は、月次決算が締まった瞬間に着手し、取締役会までの約1週間は資料作成に追われるのが通例だろう。しかし、そこには「『過去の数字』の説明責任を果たすためにリソースの大半が割かれている現状がある」と島村氏は指摘する。
この課題を解決するために導入を進めているのが、ログラスと共同開発[1]しているAIエージェントだ。MIXIでは同社の経営管理システムを2023年から導入しており、「経営管理の未来について議論する中で『AIをフル活用すること』に合意し、一緒に作ることにした」と島村氏は語る。自社でエンジニアを抱えて開発するのではなく、外部パートナーと組むことで開発後のメンテナンスコストや組織のスリム化も見据えた形だ。
AIエージェントでは、会計システムから連携されたデータを基にクラウド経営管理システム「Loglass」で予実分析を実施。同システムによる分析結果をAIが読み込んで差異要因を分析し、最終的にはレポートを出力するというもの。「資料作成に関しては、ほとんどAIで担えるようになりつつある」と島村氏。 既にレポート作成業務に関しては、約7割の業務削減が達成されているという。
もちろん、AIが生成した内容をそのまま取締役会に提出するわけではない。現在は、議事録からのノイズ除去や情報の取捨選択といった人手を介したチューニング作業を挟んでおり、最終的には部長とCFOによる確認プロセスを経ている段階だ。それでもリードタイムの大幅な圧縮を実現している。
さらに目下開発中なのは「着地予測」を行うAIだ。これまでの財務データ、KPIデータ、現場の議事録、競合の市場情報などをAIに読み込ませ、事業ごとの着地予測をAIに生成させる。これまで主要事業の“パラメータ調整”にとどまっていた着地予測を事業ごとに精緻化し、より事業部長と深いディスカッションを実現していく。
「本当に価値が生まれる瞬間は、レポートが完成した後の議論だ。これまではレポートの作成に時間を割いていたが、AIが業務を担えるようになれば状況が変わる」(島村氏)
AIによってレポートが1営業日程度で完成すれば、残りの時間は「今後どうするべきか」という議論に充てることができる。たとえば、競合他社が攻勢をかけてきた場合のシナリオプランニングをAIに作らせ、事業責任者と「もしこうなったらプランBで行こう」といった合意形成を迅速に行うことも可能だ。
[1] 『MIXIとログラス、AIを活用した経営管理業務の高度化に向け共同プロジェクトを開始』(2025年11月11日、株式会社ログラス)
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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