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移行か?継続か?──VMwareの完全リプレイスは不可能だからこそ押さえたい“現実解”への移行ステップ

ユーザー企業を悩ませる“苦渋の選択”にガートナーアナリストが送るアドバイス

第2の柱「アーキテクチャ」:ハイパーバイザーよりもアプリケーションにフォーカス

──VMwareの代替テクノロジーを選定するにあたって気をつけるべきことは何か。

 VMwareからの移行プロジェクトではどうしてもハイパーバイザーを何にするかに注目しがちだが、個人的にはハイパーバイザーの移行よりもアプリケーションポートフォリオのモダナイゼーションを優先してほしいと思う。繰り返していうが、VMwareを完全に代替できるテクノロジーは存在せず、どの環境に移行するとしてもエンジニアリングは茨の道となることは覚悟しなくてはならない。

 しかし、ハイパーバイザーよりもアプリケーションのモダナイゼーションにフォーカスすることで移行にともなうコストや労力を大幅に削減できる可能性が出てくる。場合によっては、これまで仮想マシン上で動かしていたアプリケーションをSaaSやアウトソースに切り替えるというアプローチも有効となるかもしれないし、あるいはコンテナ環境でアプリケーションを動かすという方法でモダナイズを実現できるかもしれない。戦略フェーズで定めたアプリケーションワークロードの評価に基づき、アプリケーションポートフォリオのモダナイゼーションを実現するところから始めてほしい。

 代替ハイパーバイザーの選択はその次の段階となるが、ここで覚えておいてほしいのは「代替テクノロジーはひとつに絞る必要はない」ということだ。ワークロードに応じて複数のプラットフォームを選択することも十分に検討に値する。

──具体的な代替テクノロジーを挙げてほしい。

 現実的な代替テクノロジーとしては

  • ハイパーコンバージドインフラストラクチャ
  • VMware Cloudオファリング
  • パブリッククラウドのIaaS
  • スタンドアロンのハイパーバイザー

 が挙げられる。現時点でより具体的な候補としては次の5つになるだろう。

  • Nutanix Cloud Platform:VMware環境にもっとも近い存在だが、価格も高い
  • AWSやGoogle Cloud、Microsoft AzureなどパブリッククラウドIaaSへのリフト&シフト:以前はコスト高だったが、現在はほとんどのハイパースケーラーが移行のためのプロフェッショナルサービスを提供しており、リーズナブルな移行が可能
  • Microsoft Azure Local:オンプレミス環境で実行できるクラウドサービス
  • Microsoft Windows Server with Hyper-V:ハイパーバイザーのみの提供だが、それを求める顧客も多い
  • Red Hat OpenShift Virtualization:Kubernetesで仮想環境を管理するというユニークなアプローチだが、斬新過ぎてまだ事例が少ない
画像を説明するテキストなくても可

出典:Gartner(2025年12月)

VMwareと代表的な代替ソリューション5つ(Nutanix、パブリッククラウド、Microsoft Azure Local、Windows Server/Hyper-V、Red Hat OpenShift Virtulization)

[クリックすると拡大します]

──OpenStackやKubeVirtといったオープンソースのソリューションは候補に入らないか。

 オープンソースプロダクトは一般的な企業のIT部門にとって現実的な選択ではない。OpenStackはプライベートクラウド環境として一時期、AWSやVMwareのオルタナティブとして名前が挙がったが、プロダクトとして複雑になりすぎていて、一般的な企業には向かない。同様に、Microsoft Azure Local以外の分散クラウドソリューションも代替テクノロジーとしてはあまり推奨できない。

──VMwareと同様にNutanixやRed HatもプライベートAIプラットフォーム(オンプレミスのAIプラットフォーム環境)としての技術的優位性を強調しているが、これらは顧客の選択に影響があるか。

 あまりないだろう。Gartnerの顧客にとってもAIは最も関心の高い分野だが、AIのイノベーションのほとんどはパブリッククラウド上で起こっている。ローカルで推論を実行するユーザー企業が増えつつあるのは事実だが、メインインフラの選択に影響を与えるほどには至っていない。

──代替アーキテクチャの選定で他に注意すべきことはあるか。

 現在依存しているVMwareの機能をどれだけ代替テクノロジーが再現できるか、再現できない部分はどう補完するのかといった点を十分に検証する必要がある。たとえばフォールトトレランス、ディザスタリカバリ、分散リソーススケジューラ(DRS)、ストレージのレプリケーション、vCheckスクリプトといった頻繁に利用する機能を、代替テクノロジーでどう実現していくのか、その方向性をパートナーを含めたプロフェッショナルチームで決めておくことで、移行にかかるコストを軽減することが可能になる。

次のページ
第3の柱「エンジニアリング」:とにかく自動化を徹底する

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五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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