移行か?継続か?──VMwareの完全リプレイスは不可能だからこそ押さえたい“現実解”への移行ステップ
ユーザー企業を悩ませる“苦渋の選択”にガートナーアナリストが送るアドバイス
“できない理由”を探すのではなく、自ら決断を
デローリー氏は最後に、VMware環境の移行を検討する企業のITリーダーたちに向けた“行動計画”として、Gartnerが推奨するガイドラインを示している。
- 30日以内に実行すべき事項:現在VMwareにホストされているすべてのアプリケーションをどのように処理すべきか、「7つのR」に従って判断するために、アプリケーションポートフォリオの評価を開始する/VMwareからの移行を妨げる依存関係や、互換性のないソフトウェアを特定する
- 90日以内に実行すべき事項:VMwareの競合他社の技術的評価を開始する。代替テクノロジーが存在する場合は、自社のアプリケーションポートフォリオにとって現実的なのはどれかを判断する/代替テクノロジーとの比較を行うために、概算価格の提示をVMwareに要請する/VMwareからの移行に関するビジネスケースを準備し、ビジネス部門やアプリケーションオーナーに提示、その際に現実的なコスト見積もりも提示する
- 1~3年以内に実行すべき事項:新しいワークロードを効果的に管理できるようにスタッフを再トレーニングする/代替可能なワークロードは移行し、残りのVMwareワークロードを維持するための追加予算を確認する
「VMwareの完全な替わりはない」「VMware環境は一度に移行できない」──あらためて、これらの言葉が重みをもった現実として迫ってくる。世界中で膨大な数のクリティカルアプリケーションをサポートしてきたVMware環境を移すということは非常にハードルが高く、エンジニアリングに関しても社内調整においても次々と難題が降り掛かってくるプロジェクトであり、ビジネスにも大きな影響を与える。それぞれのフェーズで、IT担当者は常に重要な決断に迫られ、頭を悩ますことになることになるだろう。そうした担当者に向けて、デローリー氏から聞いたアドバイスを紹介して本稿を終わりにしたい。
「自らを枠に閉じ込めてはならない(Don't put yourself in the box.)。VMwareからの移行プロジェクトでは、最初から様々な“できない理由”に直面するだろう。
たとえば、ビジネス部門がアプリを変えたがらない、ワークロードの性質上、クラウドに移行することはできない、移行予算がない、既存のストレージアレイを無駄にしたくない、コンテナ化するつもりはない、移行予算がないなど…...。そうした事態に遭遇するとつい“できない理由”に逃げたくなるが、どんな場面でも選択肢はひとつではない。もちろん、検討を重ねた結果、VMwareのままで行く(Stay VMware)という選択をしても構わない。大事なのはユーザー企業が自ら決断をするということだ。様々な選択肢があることを心に留め、最終的には自分の決断に従ってプロジェクトを前に進めてほしい」
出典:Gartner(2025年12月)
「VMwareからの移行を検討していると多くの「できない理由」に直面するが、そこで思考や行動をストップさせてはいけない」とデローリー氏。プロジェクト成功へのもっとも大事なポイントはユーザー自身の決断にある
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五味明子(ゴミ アキコ)
IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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