AI-Readyな基盤をダメにする組織の共通項──データを活かせる組織へ変える“3つの仕組み化”とは
CDOは「翻訳者」であれ──AI時代に求められる“データ責任者”の役割とは
本連載「理想論で終わらせない『AIのためのデータ整備メソッド』」では、「データの把握」「データの整備」「データの活用」の3フェーズに分けて、AI時代のデータ利活用に向けた実践的なアプローチを解説しています。第4回にして最終回となる本稿では、AI-Readyなデータ基盤を現場で活かすために欠かせない最も重要な要素となる「組織体制」について解説。どのような組織がデータ活用を真に成功させているのか──経営層/ビジネス部門との協働/教育の3つの要素を踏まえ、IT部門が実践すべき示唆を届けます。
データ活用の本丸は「組織」にあり
これまでの連載記事を通して、「データの把握」「データの整備」「データの活用」の3フェーズのうち、「データの把握」と「データの整備」までの解説を行ってきました。第1回では、自社にどのようなデータが存在するかを棚卸し、データの全体像を把握することの重要性について、第2回/第3回では、そのデータを実際に活用できる状態に整えるための構造化/非構造データの整備についてのアプローチについて解説しました。
第4回となる本稿では、“攻めのIT”を実現する上で最も重要な要素となる「一体化された組織体制」について解説します。どれほど優れたデータ基盤や分析ツールを整備しても、それを活かす組織と人の仕組みが整っていなければ、最大限に活用することはできません。現場で使われなければ意味がないのです。正しく運用されなければやがて形骸化します。
“守りのIT”から“攻めのIT”への転換は、技術や仕組みだけではなくそれを動かす人と組織が変わって、はじめて実現するものです。そのためには、役割を明確にした一体的な組織体制を整えるとともに、関係者が自律的に運用し続ける仕組みを構築することが不可欠。ここからは、一体化された組織体制を実現する3つの柱「経営層のリーダーシップ」「ビジネス部門との協働体制」「人材育成」に沿って、具体的な組織変革の道筋を解説していきます。
1. 経営層のリーダーシップ
データ利活用を組織全体に根付かせるためには、経営層が単なる承認者ではなく、変革の推進者として能動的に関与することが欠かせません。データ活用の推進は現場任せにしがちですが、部門横断の調整や予算配分、優先順位の決定など、経営層にしかできない意思決定が数多く存在します。
特に大企業においてその役割を担うのが、CDO(Chief Data Officer)。CDOは、データ戦略の立案から実行まで経営レベルで責任を持つ役職であり、ビジネス部門とIT部門の双方に横断的に働きかける役割を担います。単なる“データ部門の長”ではなく「経営戦略とデータ戦略を一体化させる司令塔」としての役割が求められます。
ところが、日本と欧米ではCDOに対する考え方に差があります。下図は、日本と欧米のCDOをめぐる現状を示したものです。
ここで見られる差は、単に制度や役職の有無の問題ではありません。「データから考え、データで動く文化」が経営層に根付いているかどうかに起因します。日本にも先進的な取り組みを進める企業はあるものの、IT部門の延長としてCIOとCDOが兼務されることが多く、“攻め”よりも“守り”になりやすい傾向があります。
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林田 宏介(ハヤシダ コウスケ)
合同会社デロイト トーマツのシニアスペシャリストリード。システム開発会社、外資系総合コンサルティングフォーム、外資系ベンダー2社を経て現職。メインフレームからIoTの領域で、アプリケーション開発からR&Dでのプロダクト開発、アーキテクトまで幅広く手掛ける。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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