ネコ型配膳ロボ、AIロボ接客……省力化を進めるすかいらーくが、AIで「対人接客」を可視化する狙いは?
第46回:すかいらーくホールディングス IT本部 IT企画グループ AI推進チーム リーダー 藤本祥恵さん
自動化で顧客接点が減少……「いら・あり」可視化で活気を評価
酒井:お話をうかがっていると、藤本さんたちが目指しているのは、店舗で働く皆さんが業務に集中できる環境づくりなのかなと感じます。
藤本:そうですね。理想をお話しすると、重たいお料理をネコちゃん(ネコ型配膳ロボット)がテーブルまで運ぶ。そこにクルーがタイミングを見計らって「どうぞ」と配膳する。重いものはロボット、お客さまとの接点はクルーが担い、体験価値を向上させていきたいと考えています。
ただ正直なところ、理想通りにできていない部分もあります。極端な例ですが、今の設計だと、お客さまが入店したらクルーが案内せずともご自身で席に着き、タブレットで注文して、ネコちゃんが料理を運び、タブレットで会計するといったように、お客さまとクルーが一度も顔を合わせずに帰ることもできてしまうんです。お客さまがいらっしゃったら顔を出して「いらっしゃいませ」とお声がけしてお席にご案内する。お帰りの際には「ありがとうございました」と感謝の気持ちをお伝えする。そういう気持ちを伝えるやり取りは絶対になくさないように、みんなで意識しているところです。
ところが、こうした挨拶が本当にできているかどうか把握するのは難しい。普段からお客さまへの挨拶を客観的に計測できないかということで立ち上がったのが、「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」の頭文字を取った「いら・あり」プロジェクトです。店舗クルーの発話をGeminiなどのAIで分析して、「いらっしゃいませ」が入店から何秒以内に発せられたか、1日に何回かけられたかを定量化しています。
酒井:店内はかなり賑やかだと思うのですが、それでも技術的にできるものなのでしょうか。
藤本:そこがすごく難しくて。人間が聞いても、誰がどこで何を言ったのか分からないことが頻発するくらい、とても賑やかなんですよね。それでも判別できるように精度を上げているところです。
いいお店って、売上だけじゃなく、接客やクルーの教育の質で決まるんですよね。そういう部分はこれまで具体的な数値に表れにくかったのですが、「いら・あり」によって可視化できるようになれば、頑張っているお店が正当に評価されるようにできるはずです。
その先で、さらにCo店長が店長の判断をサポートできるようになるといいなと思っています。店長って、お店にいる間ずっと優先順位をつけて判断し続けているんですよね。「今日はいつ発注業務をしたらスムーズかな」「クルーのシフトをどう組み替えようか」「次に営業が落ち着くタイミングで誰のトレーニングをしようかな」って。そこでAIが「これはどうでしょう?」と助言してくれるだけで、随分心強いと思うんです。それが、Co店長の夢……辿り着きたい姿です。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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