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第46回:すかいらーくホールディングス IT本部 IT企画グループ AI推進チーム リーダー 藤本祥恵さん

朝4時起きの独学は「生活の一部」 IT資格取得で道を拓く

酒井:藤本さんとは、ユーザーコミュニティで一緒に活動しています。初めてお話をうかがったのは、独学で「Google Cloud Digital Leader」など3つの認定資格を取得された頃でしたね。

藤本:そうでしたね。私はもともと営業本部で、2人の子どもを育てながら働いていました。仕事と家事で1日があっという間に過ぎていき、一人になれるのは通勤電車の中だけ。漠然とスキルアップしたいとは思いつつ、毎日忙しいし、具体的な目標もないし、なかなか踏み出せずにいて。充実しているけれど、このままでいいのかな……って。

 そんなとき、同僚から「ユーザー会でゲーム感覚のクラウド勉強会があるから来ないか」と誘われました。エンジニアの皆さんに混じって挑戦したら、なんと18位にランクインできて。特典でもらった資格試験のクーポン券で「Google Cloud Digital Leader」を受けてみることに。やるからには落ちたくない一心で勉強して、人生初のIT資格を取得しました。それで楽しくなって、「Associate Cloud Engineer 認定資格」や「Professional Data Engineer 認定資格」も取得しました。

 仕事でも転機がありました。以前から営業本部内のDX推進を任されていたのですが、勉強を通じて自分でもできることが増え、有志のIT勉強会をリードするようになり、社内表彰されたんです。その後の経営陣との懇談会で現場の課題を問われ、もう10年以上未解決の難題だったマスタ管理システムの整備のことをお伝えしたら、なんとその担当者として異動することになったんです。このときからITが仕事になりました。

酒井:今も勉強はされてるんですか?

藤本:すっかり生活の一部ですと言いたいところですが、そうなるべく努力しているところです。平日は朝4時に起きて家のことをして、みんなが出社する前の静かな時間にインプットしています。難しい時期もあるのですが、週1日は朝1時間勉強すると決め、そこはなるべく外さないようにしています。

画像を説明するテキストなくても可

酒井:見習いたい……わたしも学びたいことはたくさんあるのですが、三日坊主で習慣化できません。どうやってモチベーションを維持しているんですか?

藤本:ゴールを決めてしまうのが一番効きますよ。勉強を始める前に、資格試験の申し込みを済ませてしまうんです。実はこのやり方を社内でも広げていて、勉強会の前に「申し込み会」をしています。資格って申し込み手続きが意外と複雑で、せっかくやる気になったのに、そこで削がれてしまう人も多いんです。だからまずみんなで集まって、その場で申し込みまで終わらせる。すると、「受験料払っちゃったし、落ちたらもったいなし」と走り出せる人が多いんです。

 あとは、勉強仲間をつくることですね。一人でモチベーションを維持し続けるのは、やっぱり大変です。外部コミュニティに参加して良かったのは、すごい人にたくさん出会えたことです。Google CloudとAWSの認定資格全制覇という方も何人もいらっしゃって、いつも刺激をもらっています。

管理職か現場か……技術の面白さを知ったからこその迷い

酒井:藤本さんは、これからどうなりたいですか?

藤本:実は、迷ってるんです(笑)。というのも、最近社内で資格取得者を評価する制度が整ったんです。数年前から「個人の学びは、会社にとっても非常に価値があることなんだ」という共感が少しずつ広がり、ついに形になりました。職務要件にも資格やスキルが明示されるようになり、「この部門のスペシャリストと認定されるにはこの資格が必要」というふうに、配属や昇格の理由がはっきりするようになったんです。頑張ってスキルアップした人が評価されやすい仕組みで、とてもいいなと思っています。

 これまで職位を上げるには役職につくしかなかったのですが、「その道のプロとしてさらに極めていたい」という人にも、選択肢が広がったんです。

 私はマネジメントとスペシャリスト、どちらに進もうか迷っています。もともと教えることが好きで、以前はマネジメントに進みたい気持ちが強かったんです。ただ、こうして技術の面白さが分かってきた今は、「技術に時間をかけると、マネジメントの時間は短くなってしまう」とも感じています。良いマネージャーって、自分の技術を伝えながら人を育てていける人ですよね。本当はそうなりたい。でも、まだ自分で手を動かしたい気持ちもあるし、人に教えられるところまで来ていないなと思ってしまうんです。

酒井:藤本さんらしい悩みですね。

藤本:そうですかね(笑)。ただ、「みんなで一緒に成長していきたい」という気持ちは、これからもずっと変わらないと思います。

酒井:藤本さんと同じように、非IT部門からIT領域に踏み出したい方も、たくさんいらっしゃると思います。

藤本:リアルな課題を本当に知っているのは、やはり現場の方です。そういう人たちが自分でプロトタイプを作って「こういうことがやりたい」と言えるようになれば、いろんなことが一気に進むと思うんです。今は誰もが作り手になれる時代になりました。だからこそ大事なのは、「自分は何を解決したいのか」だと思うんです。「この会社を、このお店を良くしたい」という気持ちさえあれば、それを実現するための技術は、ずっと手に取りやすくなっていますから。

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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