アドビが年次イベントで明言した“コンテキスト重視”──AI完全自律に向けた「人との協働」4ステップ
「Adobe Summit 2026」Strategy Keynoteレポート
イベントで発表したAdobe CX Enterpriseと構成要素
「Adobe Summit 2026」の基調講演で発表された「Adobe CX Enterprise」は、顧客体験の提供に特化したエージェンティックAIシステムだ。企業がAIエージェントを安心して活用できるよう設計されているという。
Adobe CX Enterpriseの基盤となるのが、ユーザー企業によってアドビに蓄積されてきた「データ」「コンテンツ」「ワークフロー」。これらがガバナンスの効いた「エンタープライズコンテキスト」を提供する。その上に「Adobe Brand Intelligence」と「Adobe Engagement Intelligence」を組み合わせたインテリジェンスレイヤーが乗り、各企業のブランドデザイン、顧客からのシグナル、パフォーマンスデータといった「ブランドコンテキスト」を提供する。これにより、AIエージェントはこれらのコンテキストにアクセスするだけでなく、次回以降のための学習材料に役立てることで、エージェントのパフォーマンスを継続的に高めていくことが可能になったのだ。
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アドビのダニエル・シャインバーグ(Daniel Sheinberg)氏は、Adobe CX Enterpriseを支える「Adobe AI Platform」のアーキテクチャーには、以下4つの主要コンポーネントがあると説明した。
1. ハーネス
規模言語モデル(LLM)と、顧客体験オーケストレーションのユースケース専用に設計されたAIハーネスを組み合わせたもの。エージェントへのポリシーの適用、オブザーバビリティの確保、そしてエージェントループの制御インフラを提供する。ここでのエージェントループとは、コンテキストの構築、実行計画の立案、アクションの実行、結果の評価というサイクルを継続的に回す仕組みのこと。途中で処理がうまくいかなくなっても、エージェントは再試行できる。
2. プラットフォーム
エージェントは、ガバナンスの効いた共通のランタイム環境で動作する。このランタイムは、マルチテナント対応、スケーラブル、かつクラウド非依存であり、大規模なエージェント展開を安定して支えることができる。
3. トラストとガバナンス
顧客体験のユースケースでは、顧客データのプライバシー保護、ブランドコンテキストとの整合性、責任あるキャンペーンマネジメントなどの固有の要件に対応する必要がある。Adobe AI Platformでは、すべてのリクエストがエージェントに届く前に、ガバナンスレイヤーを通過する設計が採用されている。この設計により、人間はエージェントの動作を常に制御できるようになる。
4. 拡張性
問題の解決方法を定義したスキル、そしてAPIの呼び出しやMCP接続を行うツールを用意し、ユーザーがエージェントの機能のカスタマイズや追加拡張ができるように設計されている。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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