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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

アドビが年次イベントで明言した“コンテキスト重視”──AI完全自律に向けた「人との協働」4ステップ

「Adobe Summit 2026」Strategy Keynoteレポート

「完全な自律型AI」実装をかなえる4段階のロードマップ

 AIエージェントの技術的能力は日々向上しているが、現時点でどこまでの業務を任せられるのか。メノン氏は、AIエージェントの能力を生かしつつ、ビジネスに不可欠な決定論的な結果を得るために、以下の3つが必要だと提言する。

  1. ビジネスコンテキストを統合し、セマンティックレイヤーとして活用する
  2. 人間とエージェント双方にとって適切なガバナンスとガードレールを構築する
  3. プロンプトの意図を解釈し、誤用を防止するセキュリティレイヤーを構築する

 さらに、複数のエージェントが協働する環境を整え、かつすべてのエージェントがいつ何をしたか検証できる監査可能性(Auditability)を確保することも欠かせない。これはエージェントに任せられる範囲と人間が介入するべきタイミングを判断するための要件といえる。この実現可能性は、テクノロジーの成熟度に依存する。アドビによると、現在のAIエージェントの自律性は以下のようになるという。

AIエージェントの自律性向上に向けた進化のステップ(出典:アドビ)
AIエージェントの自律性向上に向けた進化のステップ(出典:アドビ)
[クリックすると拡大します]
  • 【レベル1】補助(Assisted):AIは自然言語による質問応答や製品知識の提供、運用上のインサイト提示を通じて補助的な役割を担うレベル。AIはあくまで補助的役割にすぎず、判断と実行はすべて人間が行う
  • 【レベル2】拡張(Augmented):AIは推論を行い、パターンの発見、結論の提示、提案の生成を行える。人間はAIの提案を受けて最終承認を行うHuman-in-the-Loopの形態になる
  • 【レベル3】制限付き自律(Automated):AIがエンドツーエンドのワークフローを自律的に実行できるレベル。人間はゴールとガードレールを設定するHuman-on-the-Loopの形態になる。AIは規定の範囲内で自律的に動き、人間は例外や重要な判断が必要な場面にのみ関与する
  • 【レベル4】完全な自律(Self-Directed):人間が定義した目標に向けて、AIは長期的な時間軸でゴールを達成する。その過程では状況に応じて方向性を修正することもある。現在はまだフロンティア段階で、技術的、倫理的課題が残る

 とはいえ、企業はAIエージェントがレベル4になるまで待つ必要はない。たとえば、アドビではオーディエンスを管理、作成、最適化する「Audience Agent」や、自然言語での会話によって顧客データやマーケティング施策のパフォーマンスを分析・可視化する「Data Insights Agent」など、レベル2に該当するエージェントを既に提供している。

 実際、冒頭で述べたようなビジネスプロセスの問題はあるものの、多くの企業はレベル1〜2のエージェント利用に取り組んでいる。ただし、過度な楽観主義は禁物だ。エージェントが顧客データを誤って削除するなど、大事故が起きてからでは遅い。「エージェントが独立して動いても問題ない場面」と「人間が方向性を示すべき場面」を明確に定義する「人とエージェントの協働の設計」が極めて重要になる。「レベル3への移行を実現し、組織として得た学びをもとに、レベル4への準備を着実に進めるべきだ」とメノン氏は訴えた。

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イベントで発表したAdobe CX Enterpriseと構成要素

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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