アドビが年次イベントで明言した“コンテキスト重視”──AI完全自律に向けた「人との協働」4ステップ
「Adobe Summit 2026」Strategy Keynoteレポート
“コンテキスト”が競争戦略で重要になるワケ
AI基盤のアーキテクチャーを強化したことで、アドビの顧客にどのようなメリットがもたらされるのか。シャインバーグ氏は3つのメリットを挙げる。
1つ目は独立性。エージェントは、複雑で時間のかかるタスクの実行中にエラーが発生しても、チームの誰かの手を借りることなく手順を調整し、最後まで処理を実行できるからだ。
2つ目は計画の柔軟性を確保できること。途中の処理がうまくいかない場合でも、提示した代替案に沿ってタスクを進めてくれるため、企業が考える複雑なシナリオにより柔軟に対応できるようになる。
そして3つ目は、アドビ製品にアクセスしていないときでも実行状況をモニタリングし、レポート作成などの活動をエージェントに代行してもらえる点だ。
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これら3つのメリットを実現させている仕組みが「コンテキストメモリー」「カスタマイズ可能なスキル」「コンポーザブルUI」「より高い品質とより少ないエラー」の4つである。なかでもコンテキストメモリーは、エージェントに任せるタスクの実行時間が長くなるほど力を発揮する。
アドビが注力する顧客体験領域において、エージェントを通した顧客とのやり取りは恒久的に一貫したものでなくてはならない。蓄積してきたコンテキストをエージェントが参照できず、セッションごとにゼロからコンテキストを収集してその都度推論していては、顧客関係を良好に保ちながらタスクを遂行することは難しい。言い換えると、コンテキストメモリーとは、その企業独自の無形資産価値を高める非常に重要なものだ。
また、ChatGPTなどのAIプラットフォームのように会話ベースのUIですべてをやり取りするのではなく、アドビはタスクに最適なインターフェースを表示する柔軟な設計を採用した。チャット画面だけでなく、ドラッグ&ドロップで操作する画面、レポートビューなど、ワークフローに沿って自動的に最適なUIが組み立てられる。これをシャインバーグ氏は「コンポーザブルUI」と呼ぶ。
数回の会話のやりとりで終わる単純なタスクはもちろん、時間のかかるタスクも既に現実的なAIエージェントのユースケースになってきている。ただし、その大部分をエージェントに任せるためには、出力結果の品質を安定させなくてはならない。エージェントが継続的に学習するフィードバックループを構築することが、人間の関与を徐々に減らしていくことにつながるだろう。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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