テラスカイは「AIインテグレーター」へ、“Salesforce特化”は制約となるか?武器となるか?
新モデル「BLADE」でSalesforce開発・運用を変えていく
テラスカイは2026年6月1日、同社のビジネス動向およびAI事業戦略に関する記者説明会を開催した。説明会には、同社 代表取締役CEOの佐藤秀哉氏、クラウドインテグレーション統括本部の今岡純二氏が登壇し、戦略の中核を担うAI駆動開発モデル「BLADE」について説明した。創業から20年にわたり国内のクラウド市場を牽引してきた同社は、SalesforceをはじめとするSaaSプラットフォームにもAI機能が急速に組み込まれつつある中、なぜ今「AIインテグレーター」への転換を掲げるのか。新たに投入されるBLADEがSalesforceにもたらす具体的な価値、そして他社ベンダーとの差別化戦略についてレポートする。
ビジネスは順風満帆も「AIインテグレーター」への大胆な舵切り
テラスカイの業績は順調に推移している。FY27(2027年2月期)の連結売上高計画は343億4900万円と、前期比22.4%増が見込まれる。営業利益は25億4100万円(前期比62.9%増)と大幅な増益で、売上・利益ともに2桁成長が見込まれるなど、同社が強固な成長基盤を維持していることがわかる。
出典:株式会社テラスカイ
この盤石な事業環境を背景に佐藤氏は、クラウドインテグレーターとして積み上げてきた実績を振り返りながらも、市場の急激な変化に対応するため新たな決断を下した。創業以来、国内におけるクラウドインテグレーターの草分けとして20年間にわたり市場を開拓してきたが、今後はそのポジションを塗り替え、自らを「AIインテグレーター」として位置づけることで、次の成長フェーズへと舵を切る。
佐藤氏は、この転換が単なる言葉の刷新ではなく、ビジネスモデルそのものの進化である点を強調した。
「これまでの20年間、クラウドインテグレーターとして市場をリードしてきたが、これからは『AIインテグレーター』へと生まれ変わる。顧客のビジネス変革を真に支えるには、AIの力を前面に押し出した、新しいインテグレーションの形が不可欠である」(佐藤氏)
AI技術の急速な進展は、従来のシステム開発・運用のあり方を根本から変えつつある。その中で同社は、単にAIツールを導入するだけのベンダーにとどまらず、顧客のビジネスにAIを深く組み込み、価値を最大化する役割を果たしていく。
上流から下流まで、一気通貫で対応するコンサルティングの強化
テラスカイがAIインテグレーターとして市場で示す優位性は、対応できる業務領域の広さと深さにある。佐藤氏は、今後の戦略においてコンサルティングによるアプローチをさらに強化していく方針を明らかにした。多くのITベンダーが特定の工程や構築フェーズに主力を置く中、同社は顧客の経営課題に寄り添う最上流のコンサルティングから、実際のシステム構築、運用や監視に至る下流工程まで、システムライフサイクルを包括的に手掛けられる体制を整えている。
これを支えるエンジニアリソースも急ピッチで拡充しており、2027年度にはグループ従業員数を1,871名にまで拡大する計画だ。なお、子会社のテラスカイ・テクノロジーズにも既に400名以上の社員が在籍している。この豊富な人材基盤を以って、上流から下流工程に至るまで一気通貫でサービスを提供できる体制こそが、競合他社との決定的な違いだと佐藤氏。「上流のコンサルティングから始まり、構築、運用・監視に至る下流まで、すべての工程をワンストップで、高いクオリティで完結できる」と強調した。
出典:株式会社テラスカイ
テラスカイは2025年4月、NTTデータと「NTT DATA Salesforce Hub」を共同設立している。従来強みとしていた金融領域から地域・公共・社会分野へとターゲットを広げることで、Salesforceプロジェクトの経験やノウハウを一層厚くし、AIインテグレーションに必要なドメイン知識を蓄積していくねらいだ。両社はこの協業により、2027年度には20億円の売上高を創出するとしている。このような全社的なSalesforce人材・ナレッジの集約も、テラスカイのAI戦略にさらなる推進力をもたらしている。
出典:株式会社テラスカイ
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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