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『EnterpriseZine Press』

2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

週刊DBオンライン 谷川耕一

テラスカイは「AIインテグレーター」へ、“Salesforce特化”は制約となるか?武器となるか?

新モデル「BLADE」でSalesforce開発・運用を変えていく

最大の強みである「Salesforce」への特化 AI戦略の成否握る

 テラスカイがAI戦略を推進できる背景には、長年にわたり築き上げてきた強固なドメイン知識がある。佐藤氏は、同社のAI戦略を支える最大の強みとして、「Salesforceプラットフォーム」に特化してきた実績を挙げた。Salesforceは企業の顧客管理や営業支援など、中核的なビジネスプロセスを支える基盤として広く普及しているが、その特性を完全に理解し、最適な形でAIを適用するためには、プラットフォーム固有の深い知見が不可欠だ。

 これまで、テラスカイは国内トップクラスのSalesforceパートナーとして、数多くの大規模かつ複雑な導入プロジェクトを成功させてきた。この大きな実績とノウハウをAI技術と融合させることで、他社には真似のできない実用的なAIソリューションをSalesforceプラットフォームの上で提供できる。

 佐藤氏は「私たちが提供するAI戦略の根底には、Salesforceという世界最高峰のプラットフォームに特化し、磨きつづけてきた高い技術力と実績がある。この強みを最大限に活かすことで、最も確実かつ効果的にAIの価値を届けられる」と語り、Salesforce領域における強みが、AI時代においても最大の武器になると主張した。

新開発モデル「BLADE」がもたらすSalesforce開発の革新

 説明会の後半では、今岡純二氏がAI戦略を具現化するための策である、AI駆動開発モデル「BLADE」について解説した。

 最大の特長は、テラスカイがこれまでの20年間で蓄積してきた、Salesforceプラットフォームにおける開発ノウハウや膨大な知見が組み込まれている点にある。いわゆる汎用LLMを用いたコード生成ツールとは異なり、Salesforce開発に最適化したナレッジベースを備えている。たとえば、ガバナ制限やプラットフォームの最新仕様に配慮したコード、設定案などを提示してくれる。そのため、レビュー工数の削減、手戻りの抑制につながることが期待されるという。

 Salesforceの開発においては、ガバナ制限への配慮、プラットフォームのベストプラクティスに則ったセキュアな設計が不可欠だ。しかし、BLADEならば、同社が培ってきた知見を活用できるため、これらの要件を高いレベルでクリアでき、Salesforceのベストプラクティスに沿った開発を自律的に行えるとする。

 「BLADEの強みは、テラスカイがこれまでの歴史の中で積み上げてきたSalesforce開発のノウハウや知見が余すところなく注ぎ込まれている点にある。これがあるからこそ、Salesforce特有のガバナ制限などにも的確に対応し、セキュアで品質の高い『正しい開発』を安定して実現できる」と今岡氏。Salesforceのノウハウや知見は、プロンプトライブラリとしてBLADEに実装しているという。

出典:株式会社テラスカイ
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出典:株式会社テラスカイ

 さらに今岡氏は、BLADEが特に力を発揮する領域として、開発の最上流工程におけるアプローチの違いを強調した。BLADEは、単に既存の機能要件をもとにシステムを設計するだけのツールではない。顧客への丁寧なヒアリングからはじまり、ビジネスの目的を整理・明文化した上で、最適な設計書とテストシナリオを自動かつ高い精度で作り上げられる。

株式会社テラスカイ 取締役 専務執行役員 クラウドインテグレーション統括本部 統括本部長 今岡純二氏
株式会社テラスカイ 取締役 専務執行役員 クラウドインテグレーション統括本部 統括本部長 今岡純二氏

 たとえば、従来はコンサルタントやアーキテクトが手作業で作成していた要件定義書やテストシナリオのドラフトを、BLADEがAIで自動生成し、人間がレビュー・補正するワークフローが想定されている。こうした“AIファースト”の開発プロセスにより、プロジェクト全体のリードタイム短縮、品質の平準化をねらう。

 また、上流工程の要件定義フェーズからAIが深く関与することで、設計のミスマッチを防ぎ、開発全体の生産性と品質を大きく向上させられる。今岡氏は、「上流工程において単に機能を設計するのではなく、顧客のニーズをヒアリングし、目的を正しく定義した上で、設計書とテストシナリオを作り上げるところにBLADEの真骨頂がある」と説明すると、BLADEが開発プロセスの初期段階から大きな変革をもたらすとした。

 テラスカイが今回発表したAI事業戦略およびBLADEは、同社がこれまで培ってきたクラウドインテグレーションの強みを正当に進化させたものであり、単なるトレンドの追随ではない。コンサルティングから運用監視までを網羅する一気通貫の体制と、Salesforceプラットフォームへの深い専門性、それらをシステム化したBLADEの投入により、同社はAIインテグレーターとしての地位を確固たるものにしようとしている。

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Salesforce特化は「制約」か「武器」か

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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