クラウドで大きく変わるシステム管理者の役割
スペシャルトークセッションでは、一転リラックスした雰囲気に。NHK教育「ITホワイトボックス」のレギュラーとしても活躍中のタレントの森下千里氏をゲストに、ゲームクリエイターや編集者など多彩な活動で知られる伊藤ガビン氏をモデレーターに迎え、システム管理者とベンダー双方の立場を知る代表として竹藤浩樹氏、そして、クラウドサービスの提供者代表として宇陀栄次氏が参加し、賑やかなやり取りが行なわれた。
まず竹藤氏が、ITシステムが社会インフラとしての重要性を増すほどシステム管理者を取り巻く環境が厳しくなっていることを指摘。「企業活動を支える重要な役割を担っていることを感謝され、誇れるようにしたい」と語れば、森下氏は「管理者は裏で仕事をしてくれている見えない存在。なかなかダイレクトに感謝を伝える機会がない」とユーザーの本音を代弁した。さらに「マニュアルを見ない、トラブルの状況が伝えられない」などのダメユーザーぶりを告白すると、伊藤氏も「自分も利用者として迷惑をかけているので、ちょっと場違いかも」と頭をかきつつ、システム管理者に意識的に感謝する日が必要と語った。
その上で竹藤氏が「日本のシステム管理者のサービスクオリティは高い。そのプライドには頭が下がるほど」と述べると、宇陀氏も「今までベンダーが全責任を持たざるを得なかったが、システムには多くの立場が違う人々が関わる『群衆の叡智』型の開発が生まれつつある」と新しい可能性を示唆。ユーザーとの親和性が高いGmailのようなシステムと、専門性の高い堅牢なシステムと両極化が進み、それぞれに管理の在り方が変化するという可能性があるという。 さらにはITを未熟な産業とし、それを支えているのがシステム管理者であることに触れ、ベンダーは水道や電気と同等の安定性を目指し、それが実現した後にシステム管理者の新しい価値創造が進むとした。
宇陀氏は「クラウドの活用でシステム管理者の逆襲がはじまる」とジョークを交えつつも、「システム管理者の生産性が向上することで、社会のシステムも大きく進化する。それによって地域や社会が活性化することを期待したい」と語った。
途中、森下氏が手がけるカレーショップの話に脱線しつつも、「クラウド技術は外来産だが、日本的なアレンジでカレーをカレーライスにしたように、ITでも新しい価値を生み出してほしい」と宇陀氏がまとめ、竹藤氏も「新時代はチャンス、感謝される仕事としてプライドを持ってがんばろう」と激励した。森下氏も「そのモチベーションのためにもユーザーは感謝を表現しなければ」とコメント。くだけた雰囲気に多彩な示唆があふれるトークセッションに聴講者からは大きな拍手が寄せられた。
最後に推進委員の株式会社フジテレビジョンの伊藤春男氏から、「環境の変化はピンチでありチャンス。感謝され、『やりがい』が自然と生まれてくる環境づくりに取り組んでいこう」と閉会の言葉が述べられ、盛況のうちに会は終了した。