ゼットスケーラー(Zscaler)は2026年9月14日、日本市場における2026年度のビジネスアップデートと、AI主導のサイバー脅威に対抗する新たなセキュリティオペレーション基盤「Zscaler Agentic SecOps」およびその中核ソリューション「Zscaler Agentic SOC」発表にともなう記者会見を開催した。
会見冒頭、神沢正氏は2026年度における日本市場のビジネス実績について説明。日本法人における新規売上成長率は前年比40%増を達成し、2025年度に続き2期連続で高成長を維持している。グローバル全体の年間売上高が約5000億円規模に達し、全体の売上成長率が25%増である中、日本市場はグローバル全体の成長を牽引する存在だという。
同社の国別売上規模において、日本は前年度の第4位から英国を抜いて第3位のポジションへと浮上。さらに、2026年度における日本市場の新規導入企業数は100社に達し、下半期における新規顧客成長率は前年同期比173%増という大幅な伸長を示した。神沢氏は「6〜7年前まで、日本法人の売上規模はグローバルのトップ10にも入っていなかったが、グローバル第3位という非常に重要なポジションまで成長できた。2027年度においては、グローバル第2位の市場規模を目指してさらなる成長を図る」と語った。
この成長の背景には、ランサムウェア被害の深刻化やクラウド移行にともなうアタックサーフェスの拡大がある。従来はIT部門の管理事項にとどまっていたセキュリティ対策が、経営層にとっても避けて通れない最重要課題として認識されるようになったのだ。
こうした需要に対応するため、Zscalerは2027年度の成長戦略として「成長の更なる加速」「エコシステムの強化」「重点領域への集中」という3つの主要方針を掲げる。成長加速の取り組みとしては、製品を個別に契約する従来手法から脱し、プラットフォーム全体の機能を企業の成長段階やニーズに応じて素早く柔軟に活用できる契約モデル「ZFlex」の提案を本格化させるほか、中堅・中小企業市場への導入支援を強力に推進するという。
エコシステムの強化においては、通信事業者やSIerなどのパートナー企業との連携を緊密化し、販売・導入から運用支援までを包括的に提供できる体制を整える。また、過去2年間で数千名規模の技術者が取得した同社の認定資格制度の拡充を図り、トップエンジニアコミュニティやユーザー会の活動、経営層向けの情報発信を強化することで、エコシステム全体の活性化を目指す。
重点領域への集中に関しては、規制要件やサプライチェーンの複雑化が課題となっている「公共」「金融」「社会インフラ」「通信」「自動車」の5業界をターゲットとし、業界固有の要件に合致した組織体制と提案活動を展開する。同時に、技術面ではゼロトラスト、データ保護、Agentic SecOps、AI Securityの4領域にリソースを集中投下していく方針だ。
続いて登壇した髙岡隆佳氏は、グローバルで同日発表された新ソリューション「Zscaler Agentic SecOps」の技術的背景と機能構造について説明した。生成AI技術が悪用され、攻撃者はマシンスピードで広範囲な攻撃を並列的に展開することが可能となった。直近3ヵ月間で公表されたCVE(共通脆弱性識別子)の数は前年同期比で270%増と約3倍に急増しており、攻撃者は検知を免れるために正規のリモート管理ツールやブラウザ、信頼されたWebサイトを悪用する潜伏型の戦術を強めている。
一方、防御側である従来のSOCは、SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)やEDR(エンドポイント検知・応答)を中心とした構成をとっており、ツールのサイロ化、アラートの多発、手動ワークフローへの依存といった構造的な問題に直面している。情報処理推進機構(IPA)の調査によれば、中規模企業におけるUTMの検知数は1ヵ月あたり約960件、1日平均約30件に及ぶとされる。
しかし、KPMGの調査結果では国内上場企業の約90%でSOC要員が著しく不足しており、さらに全体の約40%は専門のSOC体制すら構築できていない実態が明らかになっている。手動のSOCワークフローでは、36ユーザーにまたがる1,703件のアラートを調査・処理するために、アラートレビュー、影響範囲の把握、インジケーター検証、判定作成などの工程を経て合計3.75時間から6時間を要していた。
これに対し、Zscaler Agentic SecOpsでは、AIエージェントが自動的に調査計画の策定、トラフィックの相関分析、脅威検証、影響分析、推論統合を実行。これにより、一連のトリアージと分析プロセスを4分30秒ほどで完了させることができ、従来の作業と比較して約80倍の処理効率化を実現する。
同プラットフォームは、1日あたり7500億件を超えるゼロトラスト・トランザクションを処理するインラインテレメトリデータと、同社の脅威研究チームThreatLabzおよび買収したRed Canaryが蓄積してきた10年以上の最前線におけるセキュリティ知見を活用している。さらに、AnthropicやOpenAIなどの先端AIラボが開発した最新モデルと直接統合することで、高度な推論力と説明可能性を備えた50以上の専用AIエージェントを稼働させている。
また、能動的な防御アプローチとして「Advanced Deception」機能を包含しており、ネットワークやクラウド上にリアルな偽の資産(デコイ)を配置することで、正規ユーザーが接触しない領域へのアクセスを即座に検知し、感染端末の隔離やC2通信の遮断といったインライン制御を自動的に実行する。
日本国内においては、2026年10月1日より「サイバー対処能力強化法(重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律)」が施行され、重要インフラ事業者や政府機関などを対象に、インシデント検知後30日以内の詳細報告が求められるようになる。Zscaler Agentic SOCを活用することで、アラートの相関分析から対処、要因特定までのプロセスの軌跡を証拠化し、法令に基づく説明責任を果たすことが可能だとした。
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