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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

Security Online Press

「イタリア発」の技術が日本での浸透狙う──フィジカルAI時代のセキュリティ・スタンダードとなる?

フィジカルAIのネットワークが遮断されたとき、そのデバイスやロボットをどうやって守るのか

名須川 楓太(編集部)[著]

「ネットワーク要らず」のセキュリティは、フィジカルAIの生命線である

Exein 最高商務責任者(Chief Commerce Officer) ゲイリー・ウォルシュ(Gary Walshe)氏
Exein 最高商務責任者(Chief Commerce Officer)ゲイリー・ウォルシュ(Gary Walshe)氏

 オフライン環境でも必ず機能するセキュリティというのは、安全保障の観点でも頼もしい存在だ。災害や、ミサイル/ドローンなどによるキネティック攻撃により電力やネットワークが絶たれた状態でサイバー攻撃の標的となっても、工場内の機器やオペレーションを保護できる。

 また、社会実装が進む自律運転などの制御においても、オンラインに依存しないセキュリティというのは重要である。ネットワークにつながらない場所、天候、有事などの条件下で運転する必要に迫られる場面があるからだ。他にも、防衛機関・軍、金融機関、公共などのミッションクリティカルな世界では、オフライン環境が選択されるケースが多々ある。そういった分野では、デバイスレベルで動くセキュリティは頼みの綱となる。

 フィジカルAIの社会実装が進むと、さらに多様な場面でこのニーズが高まることは想像に難くない。オフライン環境でも、ゼロレイテンシーでリアルタイムに防御できるか、AIモデルの汚染やドリフトを防げるか、オペレーションの一貫性を守れるか。さらにはデータ流出を未然に防止できるか……。これが、Exeinがさらなる成長を期待されている理由でもある。

 なお、同社は現在、2027年第1四半期の完成・提供開始を目指して、フィジカルAIセキュリティに特化した基盤モデルを開発中だ。実世界の物理的な動きやデバイスの挙動などを学習し、ゼロデイ攻撃やフィジカルAIの暴走、リバースエンジニアリングなどを防ぐための次世代基盤モデルになるとされている。

出荷前に組み込む製品だからこそ、各国市場との信頼醸成が欠かせない

 デバイスの製造・設計段階(出荷前)に組み込む製品であるため、パートナーエコシステムへの注力は欠かせない。まずは、NVIDIAやAMD、Qualcomm(クアルコム)、MediaTek(メディアテック)のようなシリコンプロバイダー、次に各国のメーカーや製造・販売の受託企業、そしてOEMメーカーとの関係構築など、世界中のデバイスに入り込むためには相応のアプローチと労力が必要となる。

 同社が様々な国・地域へ足早に展開を進めている背景には、そうした理由もある。台湾は半導体生産の重要地域であり、日本もまたサプライチェーンの重要ファクターであるメーカーの集積地だ。そこで、2026年10月に日本法人を設立した。ウォルシュ氏は「自動車、産業機械など、すべてのドメインが今後フィジカルAIと密接に結びつくようになるはずだ」と述べ、日本のプロバイダーやメーカーとの関係構築を一層深めていくと強調した。

 ウォルシュ氏自身は、Microsoft時代から日本市場にも長年関わってきた。日本企業の多くは、製品のロールアウト段階で「既に完成されたモノを出したい」という気持ちが昔から強く、規律性の高いデプロイを好むマーケットだと同氏。そのためのメソドロジーが確立されている組織も多く、こうしたカルチャーから信頼されるための関係構築ステップを踏んでいくとした。

 まず1年目は、日本法人の体制確立とディストリビューション体制の構築に注力するとのこと。SIerとのパートナーシップも組んでいくという。2年目には、自動車や産業用ロボットといったメーカーなどとのインテグレーションをさらに深めていくとのことだ。そして3年目には、日本のLinuxデバイスセキュリティにおけるスタンダードの一社としてのポジションを得るのが目標だと述べた。なお、ビジネス自体は最低でも10年以上を見据えた心積もりで展開すると述べ、短中期で日本から撤退することは決してないとウォルシュ氏は強調した。

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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)の分野を中心に、ソフトウェア/ハードウェアを問わず国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材。そのほか、DX推進、IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。※取材のご案内等は個人のメールアドレスか、EnterpriseZine編集部の問い合わせ窓口にお願いいた...

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