AIを現場に根付かせる鍵は「信頼」
基調講演には、外食大手QSRPでグループCIOを務めるファビオ・ファジーノ氏とAI責任者のソフィー・ブレシ氏も登壇した。同社は店舗運営における欠品の予防や不正の検知、デリバリーでのクレーム対応などにAIを組み込み、現場のオペレーションとデータの連携を進めている。ブレシ氏は、「AIの活用において最も難しいのは技術そのものではなく、現場チームにとって真に有用な形に落とし込み、信頼を獲得することです」と指摘し、Oracleと協業して現場主導で価値を生み出すことの重要性を強調した。
同社 AI責任者 ソフィー・ブレシ氏
今回の発表から見えてきたのは、Fusion Clawという実行の仕組みを中心に据え、Fusion CompanionとFusion Agentic Homeで業務の入り口を、FSCRで導入の手間をそれぞれAI前提で作り直そうとするOracleの構想だ。基幹システムが取引を記録するだけの存在から、人が定めたルールの範囲で業務をやり切る存在へと変わる。それが実現すれば、人はシステムの操作から解放され、判断や創造、顧客との関係づくりに時間を使えるようになる。
ただし、ブレシ氏の言葉が示すように技術がそろうことと、現場で使われることは別の話だ。AIが実際にトランザクションを実行する以上、誤った処理が起きた際の責任の所在や取り消しの手順、どこまでをAIに任せるかの線引きを各企業が自ら決めなければならない。成果受領書やEnterprise Operating Envelopeといった仕組みが、そうした判断の材料として現場の信頼を得られるかどうか。成果創出システムの成否は、そこにかかっている。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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