調査対象となった企業は、国内に本社をもつ売上高上位の2005社で、うち404社から有効回答を得た。発表によると、今回の調査の特徴として次のような点があげられるという。
IT戦略に記述している内容としては、「既存業務の効率化に向けたIT活用の方向性」が74.4%と、連続して最も多かったが、2年続けて減少(2008年は82.3%、2009年は78.6%)。一方、「情報システム部門の組織と機能に関する方向性」(42.0%)や「IT人材の確保や育成に関する方向性」(27.8%)はそれぞれ、前回の調査より、6.2ポイント、8.3ポイントの増加となっている。とくに、グローバル企業において、IT戦略に「IT人材の確保や育成に関する方向性」を記述する割合が43.3%と高くなっているという(図1)。
「クラウドコンピューティングを利用する上での課題」については、半数以上の企業が、「サーバ管理の信頼性やセキュリティ」(63.4%)、「インターネットの信頼性やセキュリティ」(61.4%)、「サービスそのものの継続性・永続性」(55.0%)を利用上の課題してあげている。(図2)。
また、自社の経営に大きく影響を与える環境変化として、59.2%の企業が「国内市場の成長鈍化や新興国市場の発展」、46.3%が「産業構造の変化(基幹産業の交代、成長分野の変化など)」をあげいる。これは、前回の調査に比べて、それぞれ、8.5ポイント、10.1ポイントの増加となっているという(図1)。上位2項目は、2年連続の増加であり、2008年に1位だった「原材料やエネルギーの価格変動、獲得競争の変化」は3位に後退した。
調査結果は、上記のほか「自社の経営戦略に記述している内容」「経営施策におけるIT活用への期待度」などについてグラフとともに発表されている。
■ニュースリリース
http://www.nri.co.jp/news/2011/110203.html