拡大する位置情報を活用した新たなマーケティング手法
「ジオメディア」という言葉をご存じだろうか。これは、位置情報と携帯端末などを活用したサービスだ。例えば、飲食店などに入店した際、そこに「来た」ことを携帯電話などから記録し、その情報を友達同士で共有することができる。こうしたサービスで有名なのが米国発の「foursquare」、日本では「ロケタッチ」などがあり、ソーシャルやゲーム的な要素も取り込み急激にユーザー数を増やしている。登録される店舗などでは、ジオメディア経由で割り引きクーポンを発行するなど、新たなマーケティング手法としても注目を集めつつある。
このジオメディアサービスに欠かせないのが、スマートフォンや携帯電話などに搭載されているGPS(全地球測位システム)と、そこから得られる位置情報だ。かつては高価なカーナビゲーションシステムでなければ利用できなかったGPSの位置情報が、いまでは携帯電話さえあれば誰でも気軽に活用できる。foursquareなどのゲーム的なアプリケーションはもちろん、子どもや老人などの居場所確認、自動車や携帯電話などの盗難対策など、様々な用途で位置情報は利用されている。
電池消耗を抑えながら、自動で位置情報を取得し続けるNTTドコモの「オートGPS」
この位置情報を活用するにはユーザー側が能動的に情報取得するのが普通だ。例えば、上述したfoursquare などの場合、スマートフォンなどで対象アプリケーションを立ち上げ、いま自分がいる位置を検索する必要がある。位置が分かるとその周辺にあるチェックポイントが表示され、その中から該当するものを選ぶという流れだ。携帯電話の地図アプリケーションも、立ち上げた際に初めて自分の位置を取得し、それを基に地図上に印を表示する。その後は、アプリケーションが継続的に位置情報を取得し、地図上の印を移動させる。
これに対し、NTTドコモが新たに提供している「オートGPS」は、端末の位置情報をほぼリアルタイムに自動取得し各種サービスを利用できる。もちろん、他社サービスでもリアルタイムに位置情報を取得することも可能だが、アプリケーションを起動しなければ、基本的には携帯端末で位置情報を取得できない。
また、通常ではGPSで位置情報を取得し続けると、携帯端末の電池はどんどん消費される。そうなれば、いざ電話をかけたい際に電池切れで利用できない可能性もあるだろう。そのため、通常の位置情報サービスでは、常に位置情報を取得し続けるのではなく、利用者が能動的に位置情報を取得しようとした時だけ、取得する仕組みとなっている。しかし、NTTドコモの最新機種の携帯電話では、電池消耗を抑えつつ、自動で位置情報を取得し続けられるための工夫を行っている。常に情報を取得するのではなく、現実的な移動状況を把握できる間隔の5分単位で自動測位し、サーバーに位置を通知する仕組みをとっているのだ。
さらに、最近の携帯電話に搭載されている加速度センサーと、携帯電話の基地局への接続状況を利用し、実際に移動しているときだけ位置情報を測位する工夫も施されている。「携帯電話の技術は日々進歩している。電池の心配をせずに様々なサービスが使えるようにすることはとても重要なこと」とNTTドコモ コンシューマサービス部 コミュニケーションサービス企画担当部長の太口努氏は語る。(次ページへ続く)