2011年4月6日、アマゾン データ サービス ジャパン株式会社は、東京都内で同社が提供するAmazon Web Service(以下:AWS)の最新動向と、同社のサービスを利用しているユーザー企業の活用事例を紹介する「AWSクラウドアドバンテージセミナー」を開催した。特別セッションでは、米国AWSのバイスプレジデント ダン・パワーズ氏が、同社のサービスの実績とその優位性について説明を行った。
柔軟性と低コストが評価され、AWSは急速に拡大
「いま、ITインフラの仮想化が進んでいます。このオンデマンドのインフラで、新しいビジネスモデルが可能になっているのです」。 特別セッションの冒頭で、グローバルでの全セールスおよびビジネスデベロップメント部門を統括する米国AWSバイスプレジデントのダン・パワーズ氏は、クラウドコンピューティングの到来によりITの新潮流が始まっていると指摘した。
AWSは、サービスの提供を始めてからすでに5年目を迎えているが、Amazon.com自体では、クラウドコンピューティングの概念にあたるものは、すでに10年以上前から実施しているという。Amazon.comでは、オンラインでさまざまな商品を販売するというリテールのサービスをグローバルに展開してきた。

「Amazon.comのビジネスの中で、さまざまな顧客の情報をセキュアに扱ってきました。その際のノウハウ、インフラを使って新たなビジネスができるのではと考え、生まれたのがAWSなのです」とAWSの提供をスタートさせた理由をダン氏は説明する。
AWSは、すでに世界190カ国に数十万規模の顧客がおり、「5年目のビジネスとしては、かなりいい数字」とダン氏は語る。確かに、同社のビジネス拡大のスピードは、凄まじいものがある。「Amazon.comは2000年当時、年商で27.6億ドルの企業だった。そのビジネスを行うのに必要だったリソースと同等なものを、いまではAWSで毎日追加している」(ダン氏)というのだから、インフラ拡大のペースの速さは驚異的だ。
旧いITの世界では、ピーク時に合わせるので必要以上のITキャパシティを購入してビジネスを行わなければならなかった。しかし新しいITの世界では柔軟に拡張でき、すぐにスケールダウンもできる。そして、現在使っているリソースだけに支払い、使わないものには支払う必要がないというのは大きな違いだという。
さらに、「何千台ものサーバーもわずか数分で立ち上げられる。ここで削減された手間で、限られたエンジニアリソースを顧客と自社の成長のために使えるというのが、AWSが評価されているポイントである」と、ダン氏は強調する。(次ページへ続く)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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