仙台から石巻へ―
佐々木氏の案内で、仙台から東松島市を通り、石巻へ向かう。
車での移動にすると30分程度にもかかわらず、津波の被害のあるなしでまったく違う風景が広がる。
「距離で言うとそんなに違わないところなのに被害の度合いが全く違う。海抜でも説明がつかない差がある。水の流れが明暗をわけたのでしょう」(佐々木)
「物資が届かない。ボランティアが偏る…車で行けばこんなに近い距離なのに、なぜ?」―距離と断絶のギャップに驚きを隠せない及川氏。我々が訪問した4月7日現在は、ガソリンも出回り始めたころ。ここに、距離や物理的な問題だけでは説明のつかない、情報の断絶がある。せっかく仙台に来るのなら、仙台の状況だけでなく、津波の被災地の惨状もあわせて見てほしかった、と佐々木氏は言う。
「仙台市の住民で身近な人を津波でなくしたという人は意外と少ないんです。僕も遠い親戚がいるくらいです。仙台では、石巻のこの惨状をTVなどでしか知らない人も多い。感覚としては、東京の人に近いかもしれないです。距離は近いのに、大きな情報の断絶がある」