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あたかも有るかのように振る舞うための仕組み~ストレージ仮想化(2)

第10回

 運用効率化の観点から「仮想化」という手段が、ストレージの分野でも大きなテーマとなりつつある。ただ一口に、ストレージの仮想化と言っても様々なやり方があるので、ここでは、仮想化の種類を分類しながらポイントを解説してみたい。(前半はこちら)

サーバーにおけるストレージ仮想化

 サーバー内部でストレージ仮想化を行う場合、仮想化を行うためのソフトウェアをサーバーに導入して利用される。この実装形態の一番の特徴は専用のストレージ・ハードウェアを必要としないという点だ。ストレージ仮想化を行ううえで、特定のハードウェアを採用しなければいけないという制約は、ユーザーの機器選択の自由度を奪うものなので、できれば避けたいと願うのは自然の流れである。

 この点、サーバーにソフトウェアを導入するだけで仮想化が実現できるこの利用形態は、ある意味において1つの理想系であると言える。特にサーバー統合を行う過程において、併せてストレージ仮想化によるストレージ統合を行いたいと考えている場合であれば、このような機能が実装できるサーバー環境を選択することによって、一石二鳥の実装が可能となり、ユーザーが得られるメリットは大きなものとなる。

 しかしながらサーバー内で実装する仮想化の方式は、現在の実装形態では特定のサーバー、もしくは個別のサーバー環境での利用に限られてしまっている。このため、複数の異なるサーバー・プラットホーム環境でストレージ仮想化を利用したいと思う場合、残念ながらユーザーの期待にそぐわないものになってしまうのが現実だ。特にサーバーの種類や数が多い場合、サーバー単位でのストレージ仮想化はストレージ資源をサーバー毎に個別割り当てねばならず、ストレージ仮想化の導入で期待される大きなメリットのひとつである、プール化によるストレージ資源の使用効率の向上があまり見込めなくなってしまう点も否めない。また、サーバー・パワーを消費してしまうため、ストレージ仮想化に必要な負荷を他の機器にオフ・ロードできない点も難点といえば難点である。

HBAにおけるストレージ仮想化

 HBAによるストレージ仮想化はサーバーによる仮想化に近い実装形態だ。サーバーにおけるストレージ仮想化同様、特殊なストレージ仮想化製品を必要としない点がメリットになる。そのHBAがサポートするディスクなどストレージ機器であれば、選択の幅もある程度広がる。優点や課題点はほぼサーバーにおけるストレージ仮想化と重なる。ただし、サーバーにおける仮想化と比べ、より狭い範囲での仮想化になってしまう懸念はある。しかしストレージ仮想化を処理する負荷がカード上の処理エンジンでカバーできるので、相対的にはサーバーのCPUパワーを消費しないという点は、相対的にはメリットと言える。現状を見る限り、HBAにおけるストレージ仮想化は亜流的存在である印象は否めないため、余程気に入った製品がある場合を除き、選択肢から除外したほうが賢明であろう。

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ネットワークにおける仮想化

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この記事の著者

佐野 正和(サノ マサカズ)

1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...

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