デスクトップ仮想化が注目される背景
2011 年3 月11 に発生した東日本大震災は、多くの企業に事業継続計画(BCP)、ディザスタリカバリ(DR)対策の重要性を再認識させることになった。さらに従来はデータのバックアップや、BCサイトの構築などに関心が集まっていたが、震災後はサテライトオフィスや在宅勤務用システムの構築と展開を検討する企業が増えているようだ。同時に、今後普及が加速するのが確実なスマートフォンやタブレット端末を活用することで、さに場所を選ばずにビジネスを継続することが可能になる。
一方、ノートパソコンの社外持ち出し禁止やUSBメモリーの使用制限など、情報流出防止のセキュリティ面の配慮から、IT 利用の制限を強化する傾向もある。社員側には「便利なIT環境を使いたい」という要望があり、会社側には「管理が可能で、効率性も高まるのなら導入したい」という希望がある。そこで、クライアントに分散しているコンピューティングの資産をデータセンターに集約するシンクライアントシステムが、機動性とセキュリティの両面で有用だとして改めて注目されている。
シンクライアントシステムの実装方式は数種類あるが、現在主流になっているのはOSとアプリケーションをサーバーに置き、処理もサーバー内で行う「サーバーベース方式」だ。クライアントのデバイスには画面情報だけが転送され、ネットワーク上はその画面データとユーザーの操作情報だけが行き交う。その代表的なベンダーの一つが、シトリックス・システムズ・ジャパン社(以下、シトリックス)だ。
同社は現在、サーバーベース方式を仮想化技術により発展させた、包括的なソリューションを提供している(図)。プロダクトマーケティング担当部長の竹内裕治氏は「シトリックスの仮想デスクトップと仮想アプリケーションは、接続するネットワーク、手元のデバイスを選びません。どこからでも自分の会社で標準に使われているデスクトップと同じように利用できる利便性と可用性を実現しています」と語る。
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