スマートフォン端末をOSで比較してみる
日本の企業の情報システム部門には、アップル製品にアレルギーのある人が少なくない。それは、アップル製品は個人向けユーザーであり、企業には向かないと考えているためと思われる。そして、自分たちが使い慣れたWindows以外のものを嫌う人も少なくない。
しかし、問題の本質はアップル製品を買うか買わないかではなく、自分たちのビジネスには、どの端末が見合っているのか、ということである。ただし、日本の場合はSIMフリー端末がまだ少ないため、通信会社の比較も同時に行わなければならない。
もちろん、端末で見ると、iPhone、iPadは、スマートフォンの先駆者としての強みがあるのは事実だ。iOSを搭載した両機種は、ブラックベリーに比べると、プラスティックキーボードがない分、画面も大きい。
一方、Android端末が数多く登場してきている。従来のフィーチャーフォンの機能であった、おサイフケータイやワンセグと言った、企業導入には直接関係のない機能を持った端末も少なくない。
ただ、現時点では法人でAndroidを導入している企業は少ない。その大きな理由は、ウイルスやマルウェアの存在だ。iPhoneやiPadには、AppStoreというアプリケーションをダウンロード販売する仕組みがあるのだが、こちらはきちんとアップル社で審査されている。このガイドラインは既に公開されている。一方、Androidでは同様にAndroidMarketというサービスがあるのだが、こちらは一切の審査無しにアップされたアプリケーションが有料、無料でダウンロードできるようになっている。つまり、バグだらけの使い物にならないアプリケーションも存在するし、可能性だけで考えると悪意のあるアプリケーションを仕込むことも可能なのだ。
また、IPA(情報処理推進機構)が、2011年3月に発見されたDroidDreamというマルウェアを使って、日本に流通しているAndoid端末14機種を検査している。その結果、2011年6月現在で対策が済んでいない機種が2機種あったという報告書を発表している。DroidDreamのみならず、今後もAndroidを攻撃するマルウェアが登場してくることは、容易に想像できる。
こういった事情を鑑みた結果として、法人で導入を検討している企業の多くは、iPhoneやiPadを採用する傾向にある。ただ、自社でスマートフォンをどのように利用するのか。その利用シーンによっては、Android導入が全く考えられないというわけではないかもしれない。
それ以外に、秋には発表されると噂されているWindowsPhone7も期待されている。使いづらいと言われていたWindowsMobileから一新し、タイル模様のインターフェースを持った端末は、iPhoneのように感覚で利用することができる。
また、ソーシャルメディアの情報がトップに表示されるなど、iPhoneが実装していない機能も網羅されているため、今後は期待できるかもしれない。