もっとも注力する分野はやはりクラウド
初日の基調講演の主役は当然ながらSteve Ballmer氏だ。
同氏は冒頭、「Microsoftのレベニューは、実質100%パートナーからもたらされている」としてパートナーへの謝意を表明。さらに「クラウドコンピューティングこそが今後のMicrosoftにとってもっとも重要な注力分野」であるとし、聴衆のパートナーに向かって「Windows AzureやOffice 365をもっとプッシュしてほしい。クラウドは全世界のITユーザに大きなベネフィットをもたらすもの。我々が形成しているエコシステムで、このクラウドへのトランジションをともに進めていこう」と強く訴えかけた。
Windows AzureやOffice 365とともにBallmer氏が「Microsoftのクラウドソリューションのフロントエンド」として紹介したのが検索エンジンのBingだ。実際のところ、Bingはパートナーにとってあまり関係のあるソリューションではない。しかしBallmer氏は「Bingはユーザの意思決定と行動につなげることができる重要なクラウドアプリケーション」として、Windows Phone 7の次期コードネームである"Mango"をクエリにしたデモを壇上で実施し、いかにBingがすぐれたユーザエクスペリエンスを提供できるかを強調していた。
とはいえ、同社のクラウド戦略においてもっとも重要なソリューションはやはりWindows Azureだろう。Ballmer氏はパブリッククラウドおよびプライベートクラウドの市場におけるライバルとしてAmazon、VMware、Googleなどの名前を挙げた上で、「Microsoftはこれらの企業に対し、フレキシビリティという点で断然優位に立っている。パブリックでもプライベートでも顧客が望むあらゆるクラウド環境を完璧に提供でき、それをオンプレミスにまで展開できるのはMicrosoftだけだ」とし、そのフレキシビリティはAzureだからこそ可能であると語る。
その一例として米Boeing社がパブリッククラウドのAzure上で展開中のマーケティングアプリケーション(Boeing 737のイメージがさまざまなデバイスから閲覧可能)は、オンプレミスからイメージデータを引っ張ってきているという事例が紹介された。
オンプレミスとクラウドの融合はMicrosoftがもっとも得意とする分野であり、今後も競合に対する優位点として、積極的に打ち出していきたいところだろう。
もうひとつ、同社にとって重要なクラウドソリューションとして紹介されたのがOffice 365だ。Ballmer氏は「わずかな期間で5万6,000ものトライアルが申し込まれた。これもパートナーの協力あってのこと」と語り、比較されることの多いGoogle Appsについては「比較の対象にならない。機能の差は明らかすぎる」と一刀両断、やはりOfficeソリューションの絶対的な優位性に対する自信は揺るがないようだ。