過去2回で人財の可視化の実現方法について説明しました。実際にスキルを棚卸し可視化フレームワークで自分の強み弱みを客観的にみたり、人財マップの全体像をみるとなるほどと思うことは多くあります。そこで今回は、「パフォーマンスを上げるための組織作り(運用・活用編)」として、可視化された人財像から何を読み取ってどう生かしていくかについて考えてみましょう。
人材ポートフォリオを把握しよう
自社の人材が事業戦略に沿って適正に分布されていると自信を持っていえる経営者はどのくらいいるのでしょうか。また自分の部門の人財がどんなスキルを保有しているか的確に把握しているマネージャーはどのくらいいるのでしょうか。適切な手順で構築された人財可視化フレームワークをみれば企業に必要な人材像がわかります。それぞれの人材像にどれくらいの人がいるのかを知ることは経営者や組織のマネージャーにとってとても大切です。
以下のような人財ポートフォリオをリアルタイムに把握できるようにすることが重要ですね。スキル情報をRDBなどでデータベース化してWebアプリケーションで参照する仕組みがあればいつでもどこからでも自社の人財の状態を確認できます。

上記の人財マップは前回の記事でも使ったものですが、この人材マップではマネージャーが圧倒的に少なく見えます。レベル3の人が一人しかいないという状況になっているのがわかります。「はたしてそうなのだろうか??」
人財マップでは職種ごとに各レベルに到達している人数が表示されていますが、職種によって判定対象外のレベル(セルの背景色がグレイ)になっている箇所があります。マネージャーの場合はLevel1とLevel2は判定対象外となっています。
次の人財マップでは、マネージャーのLevel2を判定対象にしてみた結果です。

どうでしょうか。先ほどまでわからなかったことが上記のマトリックスから読み取ることができます。
そうですね。マネージャーの人数が少なかったのではなくて、マネージャーとして最低レベルに設定していたLevel3に到達しているしている人がほとんどいなかった。。ということがわかります。この組織のマネージャーはLevel2と判定された人が一番多いということを示しています。
本連載の第一回でも話題に取り上げましたが、日本の組織のマネージャーは、プレイング・マネージャーが多く業務スキルは高いけどマネジメントスキルは足りない部分が多いということを示しているマップと言えるかもしれません。
このように組織全体の人財マップを眺めることができればといろいろと組織の弱点や偏りに気が付くことでしょう。また各個人は組織と紐づいているので組織の業績と連動することで人財への投資が業績へどのような効果をもたらしたかも容易に分析することが可能になるでしょう。
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二階堂隆(ニカイドウ タカシ)
株式会社ワン・オー・ワン 代表取締役社長データベースソリューションを中心とする自社ブランド製品の開発/販売/コンサルテーションが業務の中心。モットーは、「何事もシンプルに考えること・実装すること」。趣味は身体を動かすこと、とくにサッカーはプレーも観戦も大好き。浦和レッズの熱狂的ファン。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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