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なぜビッグデータでもクラウド活用が有効なのか  対談:NTTコミュニケーションズ 中山幹公/野村総合研究所 鈴木良介

OpenFlowなどネットワークインフラとクラウド基盤との連携がカギ

 鈴木 通常、クラウドのアーキテクチャでは上からSaaS、PaaS、IaaSという形になっていますが、それもネットワークがきちんとしているのが前提です。そのアベイラビリティ(可用性)を保証できるというのは、通信キャリアならではだと思います。サーバーサイドがエラスティック(伸縮自在)であるというのがクラウドの特長だと言われていますが、ネットワークについても同様なことをお考えでしょうか。

 中山 ネットワークをエラスティックにするためには、解決すべき問題があります。確かに仮想サーバー環境において、ライブマイグレーション技術を用いることで、サーバーリソースを別の筐体や別のデータセンターに滞りなく移すことが可能になっています。ただ実際はVLAN(仮想LAN)の設定が違えば、イーサネット上の各拠点のスイッチの設定変更等が必要になるため、スムーズな移行はできません。

 そこで重要になるのが、OpenFlowに代表される最先端の仮想ネットワーク技術の活用です。仮想ネットワークによって柔軟に運用ができるクラウド構築が可能となります。程なくOpenFlowのトライアルを開始する予定ですが、これによりネットワーク経路の集中管理が可能になり、各スイッチを必要に応じてファイアウォールやロードバランサー等としても活用可能になります。

 私どもクラウド事業者にとっても、ネットワークがエラスティックになるということは、自社で保有するネットワーク機器やその運用コストを大幅に下げられる期待があります。またこのソリューションをお客様に使っていただくサービスの開始を、2012年夏に予定しています。

ネットワークの仮想化 〜解決例(OpenFlow等)〜
ネットワークの仮想化 〜解決例(OpenFlow等)〜

 鈴木 そこが解決すれば、一番大事な処理はオンプレミスで行いながら、あるピークタイミングに機微度が低い部分をクラウドにシームレスに出すことが可能になりますね。そこがセットで使えるということは、大量データ処理時代には、重要になってくるはずだと思います。

 処理の見極めということでは、ビッグデータの蓄積と活用におけるホスティングとストレージサービスの見極めについてはいかがお考えでしょうか。

 中山 蓄積や配信にはサーバーの処理が入るため、ホスティングを使うことになります。ただ、データ量の増加にあわせてホスティングのハードディスクを増設していくと、コスト負担が大きい。BizホスティングとBizシンプルディスクは併せて利用が可能ですから、フロントサーバーとしてホスティング、大容量データにはクラウドストレージを組み合わせていただくのがお勧めです。

 判断の目安ですが、一桁テラバイトの範囲であればホスティングを増減すればいいし、一桁後半になると外付けのストレージサービスが視野に入ることになります。ホスティングとストレージの使い分け、組み合わせがコスト最適化に有効です。

 鈴木 現在の流れが進んでいくと、今まで事業部門別や事業所別のサーバーにあったデータが、一つのクラウド、仮想状のサーバーの中に集約されることになります。その結果、そのデータを活用しやすい環境になるということが重要なポイントです。クラウドはデータを貯めておく大きなドンブリであると同時に、仮想的なCPUにより、柔軟な処理を可能にします。大量データの処理に有用な基盤として活用されるものになるのではないでしょうか。

 中山 その通りだと思います。私どもが期待しているのは、クラウドをデータ格納のインフラとして考えていただくことだけではありません。先進的で成功している企業は、クラウドを積極的に活用し、運用業務等からICT部門が解放され、お客様のフロントのICT化やマーケティングデータの収集・分析などを強化し、業績を伸ばしています。このように、コスト削減目的、運用中心の「守りのICT」から、ビジネスに貢献するビッグデータ活用等の「攻めのICT」に転換することで、企業のICT部門のパラダイムシフトが起きると考えているのです。

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