冗長化してもリソースを無駄にしないOracle MAA
「ITシステムに高い可用性を求める状況があるにもかかわらず、実際にHA(High Availability)構成を採用しているシステムは数%しかありません」―米国Oracleでデータベース製品を担当するバイスプレジデントのマーク・タウンゼント氏はいう。なぜHA構成を採用するシステムが少ないのか。その1つの理由が、複雑さにあると指摘する。さまざまなベンダーからさまざまなHAのための製品が提供されており、ユーザーはそれらをインテグレーションしてHAの構成を構築しなければならない。それは、極めて複雑なシステムを作り上げることになる。
さらにHA構成が普及しない理由としてタウンゼント氏が指摘するのが、高いコストの問題。高可用性を得ようとすれば、多段階の冗長性構成をとる。そうなると、本番機以外に複数のスタンバイ機を用意することになる。スタンバイ機は、多くの場合本番と同じ構成のものを用意し、それを使わずに置いておくことになる。そのため、HA構成をとれば、通常の倍以上のシステム調達コストがかかってしまうというわけだ。
結果的に、Aシステムはこういう方法でHA化、Bシステムは別の方法で、さらに、CシステムはHA化しないといったように、企業の中でHA化するものしないものが混在、HA化の方法も可用性のレベルもシステムごとにバラバラといった姿が現実となる。
これに対しOracleでは、異なるアプローチを提案している。それが、Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)だ。Oracle MAAは、Oracleの開発部隊による実証済みの高可用性技術と、顧客の成功事例に基づいたベスト・プラクティスのブループリント。Oracleが提供するすべてのソフトウェアスタックに対応できるようになっており、ソフトウェアとして提供され特別なインテグレーションは必要ない。
MAAであれば、HAを確実にするために多数のハードウェアを導入したとしても、それらをアイドル状態にすることはない。
「これは、飛行機に搭載される2台のエンジンのようなものです。通常は2台のエンジンを使って飛行していて、なにかトラブルが発生したときだけ1台で飛びます」(タウンゼント氏)
OracleのMAAならHAを実現しても無駄は発生しない。これは、サーバーのハードウェアだけではないストレージについても同様で、Oracle Automatic Storage Management(ASM)を利用することで、たくさんのストレージを利用すれば、可用性を確保するだけでなく、パフォーマンスも高くなるという。
OracleのMAAでも、可用性を確保するためにはスタンバイサイトを構築することを推奨する。とはいえ、そのスタンバイを休眠させておくわけではない。まずは、本番からデータの転送を効率化し、スタンバイをアクティブ状態にして利用するのだ。またローコストな構成で遠隔地にスタンバイを用意し、それで災害対策を行うことも可能だ。この場合もスタンバイのリソースを、本番システムの一部としてアクティブ化して活用できる。