開発チームの生産性目標を達成する5の行動規範を実践
IBM Rational CLM ソリューションにより、ALMの効果を最大化して生産性を高めることが可能となる。IBMでは多くのプロジェクト経験から導き出した5つの行動規範の実践を合わせて提唱している。チームの生産性を具体的な目標として設定し、それを達成するために行うべき規範として分類したものだ。
またIBMはCLMを開発すると同時に、ライフサイクル管理を実現効率的に実践するための行動規範を、多くのプロジェクト経験によって導き出している。それは以下の5つだ。
として以下の5つを掲げ、それぞれで達成すべき目標を定めている。
1. 開発のリードタイムを短縮するために「リアルタイムにプランニング」する
2. 品質を向上するために「ライフサイクルでのトレーサビリティー」を活用する
3. ソフトウェア価値を最大化するために「コンテキストに応じてコラボレーション」する
4. 状況の予測精度を向上するために「開発インテリジェンス」を適用する
5. ムダなコストを低減するために「継続的な改善」を実施する
熱海氏は「『5つの行動規範』というと想像しにくいかもしれませんが、『生産性を高めるための心得、五箇条』といったニュアンスで理解していただくと分かり易いかもしれません」と補足する。またウォーターフォール型やアジャイル型といった開発プロセスの種類に依存しないことも重要だ。
本稿では各行動規範の詳細を説明することは割愛するが、具体的にどのようにコラボレーションによるライフサイクル管理を行っていくのか。CLMにおける管理の中心は「計画」であり、決められたマイルストーンごとの作業スコープを入力していく。熱海氏は「CLMの開発コンセプトの根本は、開発メンバーが自分に割り当てられている作業に必要な情報に、確実に到達可能にすることにある」と語る。
「ライフサイクルでのトレーサビリティー」を実践する一つの形が追跡可能性・ビューという表形式の画面で、要求にもとづく実装の作業、さらにテストケースの関係の確認が可能となっている。主に作業の抜け・漏れが無いことを把握するためのものであるが、加えて、前後の作業が把握できるため、作業指示が曖昧な場合であっても“正しい”成果物を作ることができる。結果として作業の質が向上する。
また作業内容の把握という点では、「コンテキストに応じたコラボレーション」の効果が大きい。要求や作業管理のアイテムに直接、ディスカッションする“場”が備わっているため、SNSのように関係者間で内容の確認を手軽に行える。そして残された履歴から経緯を理解し、的確な作業を実施できる。
CLMの活用を部分的に紹介したが、IBM社自身のソフトウェア製品開発で効果を確認したところでは、年4~6%の生産性を向上し続けることが可能と見込んでいる。またQCD視点で次の表とおり効果が期待される。熱海氏は「管理システムと行動が伴うことで開発チームの組織力、開発力を継続的に高め続けていくことができる」と語る。